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第十一講  「料理人の教育論」第十一講  ㈱東京ドームホテル 取締役 総料理長 鎌田 昭男氏

料理人として親父(リーダー)を目指すならば、 自ら進んでしんどい道を通るべし。

【週刊ホテルレストラン2017年09月08日号】
2017年09月08日(金)
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さまざまな料理人がいる中で、一人一人が持つ苦悩と挑戦の数々の物語がある。ホテル・レストランの総料理長が食の業界や若手の料理人に向けて伝えたいことは何か。これまでの長い経験の中で、どのようなことに悩み、どのようなことを考え、どのようにチームを創り上げてきたのか。インタビューを通じて後継者育成に向けた取り組み、マネージメント手法などを探るシリーズ「料理人の教育論」を隔週連載でお届けする。

㈱東京ドームホテル 取締役 総料理長 鎌田 昭男氏
㈱東京ドームホテル 取締役 総料理長 鎌田 昭男氏

鎌田昭男(かまた・あきお)
1943 年茨城県生まれ。71 年渡欧。「ホテル・ド・パリ」「クロコディル」「ムーラン・ド・ムージャン」などで研鑽を積む。帰国後、六本木「オー・シュヴァル・ブラン」料理長に就任し、日本のフレンチ史上はじめて「ポワソン・クリュ」(生魚)をメニューに出す。86 年フレンチブームの中、ホテル西洋銀座の総料理長に就任。先見の明を発揮し、同ホテルにてイタリアンレストランをオープンさせる。2000 年に東京ドームホテル調理統括シェフに就任。01 年取締役総料理長に就任。07 年フランス農事功労章シュヴァリエ受章。12 年調理師関係功労者厚生労働大臣表彰受賞。13 年卓越した技能者(現代の名工)受賞。

料理は瞬時に変わっていくもの
プロの料理人は緊張感が求められる
 
—人材教育にあたって、これまで貫いてきたことはありますか
 
会社として人材を育てる仕組みと、現場で人材を育てる仕組みは別にしておく必要があります。会社の仕組みとしては、社会人としての基礎を学んでもらう新入社員の導入研修から始まり、サービスや調理の各セクションをまわりながらホテルという職場を認識してもらいます。入社後1年目、3年目にはフォローアップ研修があり、その後もリーダーシップ研修などの階層別研修が行なわれます。これらは主にビジネスパーソンとして必要な教育という面が強いです。
 
難しいのはそれとは別に行なわなければならない、現場における人材教育です。今の時代は「見て覚えろ」という指導がやりにくくなってきました。良い悪いは別にして、教わる側が自分自身で見て、自ら覚えていくという昔ながらのやり方の方が、現場で活躍できる人材は育ちやすい気が私はしています。
 
ただ、現実問題として、今はルセットを持ちながら教えていく方法を採らなければ人を育てていくのは無理だと思います。会社の仕組みとは別に、現場は「何年目の人であればここまではできていなければならない」ということを具体的に教えていく必要があるのです。
 
東京ドームホテルは、ミッションステートメントを掲げています。そこには「日本で一番安全で安心なホテルを目指します」と書かれていて、現場においてもその考え方を教え込んでいっています。実際、東京ドームホテルは防火・防災訓練に非常に力を入れています。ホテル全体を23 地区に分けて、毎月1 回以上、セクションごとの訓練を実施しています。年2回の総合訓練、毎月の夜間防災訓練を加え2016 年は年間トータルで893 回の訓練が行なわれました。訓練は本当に地震や火災が発生したかのようなものすごい緊張感の中で行なわれ、非常時の動きが身体に染み込んでくる感じがします。ホテルの仕組みとして素晴らしいと思います。防火・防災訓練の瞬時に出てくる緊張感は、料理の現場においても共通して必要なことだと思います。料理は瞬時に変わっていくものですから、料理人は緊張感を持って取り組まなければプロの仕事ができません。
 
—スタッフに緊張感を持たせるというのは、とても難しそうです。
 
難しいですね。あるホテルのオーナーが総支配人に「社員を教育するのに、何回同じことを言ったか」と聞いたというエピソードを思い出します。「10 回です」と答えた総支配人をオーナーは叱り飛ばしました。100 回、1000 回と答えても、総支配人は叱られ続けました。そして最後にオーナーは「1万回言いなさい」と指示したそうです。
 
実際には同じことを1万回繰り返せるはずがありません。オーナーが言いたかったのは「1万回言い続けるくらいの気持ちで部下に伝えろ」ということだと思うのです。それくらいの気持ちで大切なことを言い続けなければ、本人の気持ちには届かないということでしょう。
 
この話を料理に置き換えると、「鰻の百遍返し」という言葉があります。鰻屋さんが実際に百回も鰻を返しているはずはないのですが、それくらいの気持ちで焼かなければ焦がしてしまい、苦味でおいしくなくなってしまうという戒めを表しているのです。料理人は常に緊張感の中で仕事をしていなければ、プロとして調理場に立つことはできないという教訓がそこには込められています。
 
—それだけの熱量を持って大切なことをスタッフに伝えなければ、人材を育てることはできないということでもありますね。

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