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CT Spirits Japan

【レポート】セラーマスターのドミニク・ドゥマルヴィル氏来日!「シャンパーニュ・ラリエ テイスティングセミナー」

2023年04月07日(金)
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シャンパーニュ・ラリエ
ラリエの歴史は長く、その名は創立者のルネ・ラリエ氏に由来する。ラリエ家が3代に渡って作り上げ、2004年にフランシス・トリボー氏がバトンを受け継いだ。アイ村のテロワールを大切にしてきたラリエ家に加え、近代的な設備投資を通じて緻密さとテロワールが生む個性の融合を体現してきた。Rシリーズやウヴラージュという2つのキュヴェも新たに追加された。そして、2020年の5月にカンパリグループの傘下となり、セラーマスターとして今回来日したドミニク・ドゥマルヴィル氏が新たな牽引者となった。


 
ラリエの拠点は、アイ村とオジェ村にあり、自社のブドウと買い付けのブドウを用いてシャンパーニュ造りを行っている。非常に興味深いのが、ピノ・ノワールが多いアイでシャルドネの栽培をしている点である。大手シャンパーニュ企業の本拠地も多いアイの地で、その地への愛情だけでなく、チャレンジも行っている。伝統と革新がワインを通じて感じることができる。
 
アイ以外にも、アヴィーズ、シュイイ、クラマン、メニル・シュル・オジェ、オジェ、ヴェルズネイにブジ―といったグラン・クリュに加え、コート・デ・バールにもジュイ・シュール・セーヌというクリュを持っている。また、環境に配慮した認証であるHVE(Haute valeur environnementale)も取得している。
 
畑やブドウもさることながら、ラリエの良さはそのブドウを丁寧に丁寧に発酵と熟成をするクラフトマンシップとオートクチュールなワイン造りにある。区画ごとに発酵を行い、その年年のニュアンスを微調整しながらワイン造りが行われている。例えば、2021年と2022年では気候も異なり、収穫後の酸の高さも異なる。そうしたヴィンテージごとの細かな違いを読み取りながらMLF量を調整したりしている。
 
また、収穫の少し前(2~3週間ほど前)に予めブドウを少し摘んで発酵を行い、その発酵で生じている酵母を本収穫の発酵につかったりしている。こうしたテロワールを重視したクラフトともいえる細やかな姿勢が繊細な差を生んでいく。熟成においても、ウヴラージュのようなキュヴェでは、王冠ではなくコルク栓での2次発酵熟成が行われるなど、オートクチュールなワイン造りがされている。
 
そうして丁寧に作られたシャンパーニュは、飲んでみてわかる品の良さがある。パリを中心としたフランスの星付きレストラン、ホテルなど多くの高級・ガストロノミック(美食)レストランで採用されているのも頷ける。ベース・ワインの質が非常に良いと感じるクリア感は他のシャンパーニュの差として感じることができる。
 
そして、シャンパーニュの最大の見せ所とも言えるのがブレンドである。このブレンドと2次発酵の後、長い熟成を経て、細かな調整(ドサージュ)が行われる。この一連のプロセスにも、先程のクラフトマンシップとオートクチュールなワイン造りを感じることが出来る。よく様々なワインでバランスが良いと表現されることがあるが、ラリエの場合は、雑なものが一切なく、引くものがない(これ以上何か手を加える必要がない)ように思わせてくれる。コクやインテンシティがあるのに重々しくなく、甘すぎもせず、高すぎない酸と全体が調和している。
 
ラリエのスタイル
シャンパーニュはもちろん泡あるものだが、わざと泡を除いた状態で飲んだ時に、甘さや酸味、澱のニュアンスなどの引っ掛かりがない。素性が良いとはこういう事かと思わせてくれるような味わいを生み出すコンポーネントのバランスが優れている。ここにはラリエが大切にしている(情熱を注いでいる)4つの要素が関係している。それは、「ピュア」「凝縮感」「フレッシュ」「深み」の要素である。


 
この4つの要素はそれぞれのキュヴェによって違ったバランスを見せる。例えば、凝縮感は発酵由来の要素で酵母や樽によるもの、ブドウの品質や熟度によってもたらされるが、そうした影響が濃く感じられるウヴラージュとフレッシュさを感じるブラン・ド・ブランでは異なる。しかし、4つの要素間のバランスはどれも崩れてはおらずそれぞれのキュヴェごとに表情を変えて感じられる。Rシリーズでそのバランスの真価は発揮され、ラリエが表現するスタイルというものが理解できる。
 
次項で、セミナーで提供された5種類のシャンパーニュの試飲コメントを掲載したい。

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