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第一回 キャリアデザインは口に出して言え 福永健司のキャリア論

なぜ、キャリアを自分でデザインしなくてはいけないのか?

2015年09月01日(火)
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福永 健司 プロフィール


 既に誰もが認識し、目に見えない不安に悩まされているが年功序列、終身雇用と言った、日本式雇用形態は過去の遺物となり、若年層を中心に会社に頼らない生き方、働き方を自分でデザインする時代になっています。

 一般職、専門職、正社員、契約社員、地域社員とカテゴリーは増え続け、それぞれの事情、考えに応じてその立ち位置の選択はできるようにはなりました。

 しかしながら選択は時に苦しく、一つのモデルケース、新卒で一斉に就職し、会社人事の施策による各部の異動や転勤、そして定年というパターンの方が今となってはもしかしたら楽に感じる方々も多いのではないでしょうか?

 しかし時計は二度と逆戻りはせず、結果、組織を通して自分の思いや人生のデザインを実現するのも自己の責任、自己の才覚で行わなければならない状況です。


 我々の属するホテル業界にもこのうねりは確実に浸透し、また10年前にハゲタカの比喩で日本を席巻した外資系ファンド(特にアメリカ系)のホテルのM&A(買収と売却)もひと段落し、これからはアジア系ファンドや日本のREITを始めとした所有者による資産の長期保有という動きが活発化、中心となります。

 買収してリノベーション等のお化粧を施しまた施設の拡張などの付加価値を付け、購入時よりも高額で売却をし、いわゆるキャピタルゲインを目的とする方針から、所有し、中・長期の視点に立ちブランド力やサービス・ホスピタリティ力で利益を確保し資産を保有し価値を高めるという転換期にでもあります。

 その中でホテリエ並びにマネージメントに求められるのは、売上の向上から経費の管理、ホテル全機能の生産性の向上といったプロセスの改善による利益の確保や底上げです。

 親会社の一部であるという従来のビジネスモデル、守られた形からの決別によるビジネスマン、プロフェッショナルホテリエとしての歴史的転換期であるともいえます。

 すなわち“個”の時代であり、各々が能動的に、自分自身でモチベーションを高めながら動いていくことが求められます。好むと好まざると旧態依然のマインドでは非常に厳しい状況に追い込まれる可能性が高いです。

 そして競争相手は世界中のホテリエです。日本の構造的な問題である少子高齢化による人材政策としての外国人への門戸開放はすぐそこまで迫っています。今まではビザがとれない、日本語をしゃべることはできるが読めない、書けないという外国人は門前払いで、ホテルというインターナショナルな業界でも人事的鎖国状態でありましたが、時が変わり今や母国語、英語そして日本語を操り読み書きもできる外国人が増えています。ホテリエ人材のグローバルな戦いは既に始まっているのです。

「阿吽の呼吸」すなわち、共にひとつの事をする時に相互の微妙な調子や気持ち、そしてそれが一致すること。日本の優れた点のひとつであり、会社で、そして生活でしばし活用されているものであるが、ことキャリアについてはこれが当てはまらず、自分のやりたいこと、自分の得意な事をアピールしなければ自身のキャリアのデザインはままなりません。

 もちろんやみくもに「プロ野球の選手になりたい」、「パイロットになりたい」、「社長になりたい」、では子供と同じであり、なぜ、そうしたいのか? またそれについてどう行動をしているのかが問われ、その質と量、すなわち想いと覚悟を具現化する行動により達成の可能性が高まるのです。

 もっとも大事なのは、夢や目標を持った時にそれを可能にするための戦略的かつ実行までのロードマップ。そして準備、手段を知っておくべきです。

 拙著がホテリエ各位のキャリアを思い描く際の参考になれば筆者の望外の喜びです。

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