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第四回 キャリアデザインは口に出して言え 福永健司のキャリア論

キャリア構築は投資の手法で実践せよ その①

2015年10月08日(木)
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分散投資から始めよう
 
 投資といえばすぐに株やFXを連想する方も多いかもしれませんが、見方を変えれば自分自身への投資が一番確実な上重要であり、原則目減りはなく、元手の保証(元本保証)はおろか、そこで得たものが最後の砦になるのは間違いありません。
化粧やエステ、自分へのご褒美的なものも投資とも言えますが、ここではやはりキャリアのデザインに対する論法で投資を語りたいと思います。
 


 株や投資信託等の投資関連の指南書を見ると、必ず記述されている3本柱は、
 
1.分散投資をせよ(玉子は同じ籠に盛るな)
2.時間とうまくつきあえ(ドルコスト平均法の利用)
3.余剰資金で行え(気持ちの上でも時間的にも余裕があるうちに実行せよ) 


というものであり、これはそのままキャリアの構築に利用できます。
 
 初めて聞いた方もいるかと思うので簡単に投資の3本柱についての解説をしながらキャリアデザインに置き換えてみます。

 
分散投資とは;
 例えば、投資をする際は日本円だけでなくアメリカドルあるいはユーロ、オーストラリアドルなど多国籍の通貨を所有することにより、過度な状況(例えば現在の急激な円安)の際に相互扶助(この場合は複数の国の通貨を持つことにより金融政策や世界経済の状況によりその時の強い通貨と弱い通貨が相殺しあい、単一通貨しか持たない場合の一国通貨の価値下落という状況へも対処を可能となります)の作用により対応が可能になることや、比較的リスキーな株式(企業の業績により大きな利益の獲得の可能性と、逆の場合は購入価格よりも下回り大きな損害を被る可能性があり、また企業の倒産や不正発覚で紙屑になることもある)だけでなく債券(社債を代表とする利息はそう高くないが元本自体はほぼ確保できる)などに、また日本株/債券だけでなく外国株/債券などに投資するなど投資対象物をできるだけ分散することで、何かが悪くても何かで補うという効果を言います。これをキャリアに生かすと自分自身という商品に付加価値をもたらすことが可能にします。
 


 これをホテルのキャリアで例えるのであれば、花形と言われるフロントしか興味はなく、それしかやらないという生き方ではなく、多機能を有するホテルであればレストランや営業、経理など興味を持って色々取り組み自身の興味と長所を生かせるような業務を見つけ、複数のスキルを持っていた方が物事を多角的に見ることができるようになり、自身の強みになるという考えになると思います。

 分散投資を違う言い方では“玉子は同じ籠に盛るな”と言いますが、意味としては「ひとつの籠に全てを盛り込むとその籠を誤って落とした場合、全てが割れて使い物にならないことになる」という話です。つまりは分散せよ、と。

 以前までであれば一つの専門分野をベースにキャリアをデザインすれば良かったのですが(これをT字型キャリアと呼びます。すなわちTの縦線を深く追求するものでスペシャリストを目指すキャリアの総称)多様化、複雑化、そして変化のスピードが速いビジネス環境下では可能であれば二つ以上の専門分野(あるいは強み)を持ち臨む必要があります。スペシャリストも同様ですので上述のT字の縦線を複数持ち、最低2本は縦に深いことが必須です。
 
 私たちは過去の事象を見てきました。私と同年代の方であれば過去、改札には切符切りという役割の方がいましたが既に自動改札機にとって代わられています。ビジネスモデルとして確立され不可侵と思われていた写真のフィルム業界はデジカメ、そしてスマートフォンにその地位を完全に奪われ、そこに従事していた方々の仕事を奪いました。すなわち常に来るべき未来、将来に向けリスクを分散する必要があるのです。

 専門性の追求が悪いという意味ではないですが、時代の流れやそのスキル/職域そのものが陳腐化した時にそれしかないということ自体がリスクとなります。多くの引き出し、守備範囲を持ち、汎用性に優れた者がオペレーションを制し、またマネージメントを目指す者は横断的に部門や部署がどのように機能しているかを知っておくことが自身を助けることとなります。
          

分散という考え方でリスクをヘッジせよ

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