宿泊産業の競争が激化し、ゲストのニーズが多様化しているいま、ホテルのマーケティングに求められている戦略は、とんがりをつくることである。とんがりで差別化し、そのとんがりに関心のあるゲストが集まる。本連載では、そんなコンセプトが際立ったホテルや宿泊施設を厳選して紹介し、紐解いていく。担当するのは、立教大学観光学部で宿泊ビジネスを学ぶ学生たち。学生のピュアな心に、日本のホテルはどう映り、どう表現されるのか。
取材・執筆 / 立教大学観光学部3年 金山 眞子、澤田 明希 監修 / 宿屋大学 代表 近藤寛和
心と体がよろこぶ滞在。
私たちが取材対象としたのは、京都河原町にある「GOOD NATURE HOTEL KYOTO」。環境に配慮したホテルは多くあるが、我慢することなく楽しみなら地球環境に配慮した生活を提案しているところに興味を抱いたからだ。「5GOOD(5つのGOOD)- GOOD for Health、 GOOD for Minds、 GOOD for Locals、 GOOD for Social、 GOOD for Earth」をキーワードにし、人にも、自然にもやさしいホテル。取材した2023年3月には、日本人ゲストはもちろん、インバウンドゲストも多く見られた。選ばれる理由はやはりブレないコンセプトで時代の変化に合わせて進化し、ブランドを創ってきたからだと実感する。同ホテルの総支配人である松井美佐子さんにお話を伺った。
----松井総支配人の経歴について教えてください
新入社員として「リクルート」で3年間広告制作をしました。仕事が感動的で、一生続けたいと思っていたのですが、子どもを授かり体調を崩し入院したタイミングで考え方が180度変わりました。仕事が大好きだけれど今は子育てに専念しようと決め、退職。その後は、仕事に復帰したらきっと役に立つと決めて、子どもが居ながらにしてできる地域活動に明け暮れました。…母親サークルを立ち上げて15年活動したり、コーラスに所属したり、ママさんソフトボールは10年以上続けました。PTA会長も良い思い出です。専業主婦だった期間は12年間ほどで、今も私の一番長い仕事歴です(笑)
復職の第一歩は同じくリクルートの旅行事業「じゃらん」で、今度は契約社員で営業を担当しました。宿営業では、新卒の際に担当していた広告制作の経験を役立たせることができました。営業とは課題解決に役立つことだと実感し、提案&実践によって、担当した宿がどんどん予約実績を伸ばしてお客様の喜びのクチコミが届いたとき、大きな喜びが湧きました。
6年間の契約満了のあと、ご縁のあったホテルからお声がけいただき入社しました。