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第四弾 特別連載「地域食材を探る」 第四弾 野草一味庵 美山荘 中東久人氏

「ありのままの食材の姿を感得する。 自然を理解し、自然科学を利用し料理に活かす」 これが次世代の料理人に求められている。

【週刊ホテルレストラン2017年11月03日号】
2017年11月03日(金)
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野草一味庵 美山荘
中東久人氏
Hisato Nakahigashi

〈profile〉1969 年、京都生まれ。高校卒業後、ブラッドフォード大学入学後、フランスへ渡る。1年間の語学研修の後、パリ大学ホテル経営学科に入学。三ツ星レストランなどでホール修業をした後24 歳で帰国。金沢の日本料理店で料理修業をし、26 歳で美山荘の四代目となり、現在に至る。

“ ご当地コンテンツ” の重要なファクターを占め、地域活性化の大きなカギを握る「食」。この連載では、ジャンルを問わず第一線で活躍する料理人の方に「地域食材」をフックにお話を聞かせていただき、地域独自の食材を掘り起こしや、ホテルや飲食店における他社との差別化、生産者や行政のPR 方法の糸口となることを目指していく。第四回の今回は、京都の奥座敷とも言われる花背で明治のころからお客さまを迎えてきた美山荘、そこで若きころより四代目を務める中東久人氏にお話を聞いた。

自然から学ぶ次世代の摘草料理
美山荘と四代目の想い


❐ 豊かな自然に囲まれた美山荘、提供されるさまざまな料理と食材にはどのようなこだわりがあるのでしょうか。

「野草一味庵」という店名にもあるように、野草や山菜、きのこはもちろん、上桂川で獲れる夏の鮎などの川魚、野鳥、猪、鹿、熊、数え上げればきりがありませんが、野山に入り自分たちの手で収穫したものを調理し、野趣にあふれた自然の恵みを、さまざまな外的要素や時流などを、美山荘というフィルターにかけた一滴を堪能していただくことにこだわりを持っています。3 年前にはお店の周りに食材を栽培する区画を整備。タラの芽や山独活・アケビや山ふき、山椒、きのこ類・香草など合わせ、現在15 種類以上を管理・栽培しています。

 野菜一つにしても市場から仕入れるものは極力少なくし、基本的に、地元・花背や丹波連峰続きである京丹波のものを使用し、そこでまかなえない山の食材については、滋賀の山奥、ときには岐阜県内の山師の方にお世話になっています。

❐ 料理人の方が自ら食材を栽培する話はよく耳にしますが、中東さんの場合は何かきっかけなどあったのですか。

 大きな要因は二つあり、一つは過去の体験からきています。フランス郊外在住時代の話ですが、飲食店と生産者の関係が近いもので、そこに温かみを感じると同時に、常に自然の食材に囲まれている環境を素敵なものだと感じていました。そしてもう一つは、野草の種を守るためです。ニュースなどでときどき取り上げられる「増えすぎた野生動物による生態系への悪影響」、この現象によって、近い将来海の恵みだけではなく、山中からも自然のものが消滅してしまうのではないかという危機感を以前から抱いていたのです。実際に開発の少ないお店の周辺でも、フェンスを張って栽培してはいるものの、油断していると作物の芽が食べられてしまっているということが起きています。

❐ 栽培前と後で、ご自身の中で変化のようなものは。

 農業に関する知識や経験があるわけではなかったので、最初は失敗のくり返しでした。そこで何が悪かったかを自分で勉強したり、ときには周辺住民の方に伺い改善することによって、今日を迎えています。その過程で改めて、周囲の方や環境に感謝する気持ちが強くなりました。食材に対する敬意のようなものも同様です。また馴染みある食材ですさえ、今まで知ることのなかった一面があることに気付く機会を得ています。

 たとえば山椒の話をすると、普段流通の中で目にするものは青い粒だと思いますが、うちの庭で栽培している山椒はそこからさらに手をかけることで、真っ赤な実へと熟成します。すると味わいにも変化が生じ、辛みや風味に加え「コク」のような味わいを感じることができるようになるのです。小さな変化かもしれませんが、料理人としては新たな可能性に出合えたと喜びを感じるところです。自然とともに、季節を歩み、本当の旬を知る。

自然味豊かな美山荘の「キノコ鍋」
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