ホテルの客室清掃において、多くの作業負荷・時間を占めるとされるユニットバスの清掃業務。その中でも見落とされがちだが、現場の手間を大きく左右しているのがシャワーカーテンの着脱作業だ。YKKスナップファスナーは、自社が長年培ってきた樹脂スナップ技術を応用し、ワンタッチで着脱できるシャワーカーテンフックを開発。国内最大級のホテルチェーンのアパホテルとタッグを組んで開発し導入を進めたことにより、清掃効率の改善につながっているという。YKKスナップファスナー 営業本部 東京支店 3グループグループ長・松澤伸哉氏、同社営業本部 福山支店 1グループ・佐原圭一氏に詳しく聞いた。
アパレル技術を「産業資材分野」へ 新領域への展開
同社はジーンズのタックボタンやリベット、金属・樹脂スナップなどを製造・販売するファスニング商品メーカー。従来はアパレル向けが中心だったが、約20年前から産業資材分野への展開を強化してきた。
今回のシャワーカーテンフックも、こうした提案型営業の延長線上にある。リビング雑貨やホテル備品への応用を模索する中でアパホテルと接点を持ち、現場の課題を丁寧にヒアリング。従来フックの「取り付けにくさ」「作業姿勢の負担」「交換頻度が上がらない」といった清掃業務時の課題に着目した。


頭上作業を最小化するワンタッチ構造
一般的なシャワーカーテンフックは、リング状の部材を頭上で穴に通し、ロックさせる必要がある。現場スタッフにとっては扱いづらく、1室あたり複数個を取り付ける作業は身体的負担も大きい。
同社の新型フックは、手元でカーテンにセットした後、バーに差し込み、横方向にひねるだけでロックできる構造。開口部を横にすることで、引っ張られても外れにくく、安全性にも配慮した。耐用年数は7~8年を想定。
「頭の上での作業時間をできるだけ短くすることを重視した。現場の動きを観察し、どうすれば負担を減らせるかを考えた結果の形状」と佐原氏は話す。


清掃時間を短縮、導入テストで効果確認
ともに開発に取り組んできたアパホテルでは導入前にテスト運用を実施。1フロアでの検証の結果、シャワーカーテン交換作業が短縮できるとの効果が確認されたという。客室数と稼働率を掛け合わせると、年間で数千万円規模の作業コスト削減効果につながる可能性もある。
清掃現場では、シャワーカーテンの交換が進まず、生乾き臭が客室に残るリスクも課題だった。交換作業が容易になることで、衛生管理と販売効率の両立が期待されている。
松澤氏と佐原氏にシャワーカーテンフックの操作方法を教えていただいた。慣れれば片手でも交換できるほどの操作性を確認できた
導入後、現場スタッフからの評価は高く、社内イノベーション発表の場でも上位に選出された。現在は直営店舗を中心に切り替えが進み、同ホテルの新規開業・改装ホテルでも標準採用の動きが広がっている。
同社は今後、他のホテルチェーンや宿泊関連施設にも提案を進める方針だ。「ファスニング商品は小さなパーツですが、現場の困りごとに踏み込めば業務改善に貢献できる。オペレーションは大きく変えられる」。現場起点のものづくりが、ホテル運営の効率化を下支えし始めている。
写真右から、YKKスナップファスナー 営業本部 東京支店 3グループグループ長・松澤伸哉氏、同社営業本部 福山支店 1グループ・佐原圭一氏
【お問い合わせ】
YKKスナップファスナー(https://www.ykksnap.co.jp/)
取材・文 渋谷 shibuya@ohtapub.co.jp




