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とんがりホテル コンセプトが斬新な魅力宿 ふふ 河口湖

とんがりホテル コンセプトが斬新な魅力宿 ふふ 河口湖

【月刊HOTERES 2022年05月号】
2022年06月30日(木)
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境界のない森のリゾート 自然との一体化に欠かすことのできない人の力

宿泊産業の競争が激化し、ゲストのニーズが多様化しているいま、ホテルのマーケティングに求められている戦略は、とんがりをつくることである。とんがりで差別化し、そのとんがりに関心のあるゲストが集まる。本連載では、そんなコンセプトが際立ったホテルや宿泊施設を厳選して紹介し、それを支える秘訣を紐解いていく。担当するのは、立教大学観光学部で宿泊ビジネスを学ぶ学生たち。学生のピュアな目に、日本のホテルはどう映り、どう表現されるのか。
取材・執筆/立教大学観光学部 千葉彩永 田中美優 監修/宿屋大学 代表 近藤寛和
 

支配人の田村幸稔氏
支配人の田村幸稔氏

 ふふ河口湖は2018年10月1日にオープンしたスモールラグジュアリーリゾート。その名の通り、富士山の麓、河口湖の湖畔に位置している。手掛けているのはカトープレジャーグループ。2022年現在、ふふシリーズは熱海・河口湖・奈良・日光・京都・箱根に展開している。ふふシリーズは場所ごとに異なるコンセプトを有しており、ふふ河口湖に関しては「木々が薫り、 光がゆれる、 境界のない森のリゾート」をコンセプトに据えている。地の力を活かす自然と一体化した宿であり、自然との関わり合いが減ってしまった現代人を誘う。そのような空間の舵取りを行っている支配人の田村幸稔氏に話を伺った。
 

----田村さんの経歴を教えて下さい。

ホテル業は今回が初めてです。最初はレンタル会社で働いていました。店舗の運営を担当した後、社内の新事業として飲食店の設立に携わりました。その後、仕事に一区切りを付け、コンサルティング会社で勤務することにしました。約半年間、ベトナムのホーチミンに駐在し、現地の日本食レストランやベトナムのホーチミンへの進出を考えている企業のサポートを行った後に現在の株式会社カトープレジャーグループに就職した形です。元々、現場のマネジメントで応募していたのですが、人事部に採用され、「やはり、現場で…」ということでラグジュアリーホテル部門に異動しました。ただ、開業1カ月前にふふ河口湖に配属となり、更には、開業と同時に副支配人に拝命され、本当に右も左も分からない状況でのスタートとなりました(笑)。

----異業種での経験はホテルマンとしての振る舞いに役立っていますか。

今までのキャリアはホテル業での仕事に役立っています。ホテル業は人と接する職業なので、お客さまへの対応の仕方は今までの経験と結び付くところがあります。また、ホテル業はスタッフ同士の協力が不可欠な職業でもあるので、対人関係のマネジメント力も活きています。

----ホテル業での経験が全くない状態から、ふふ河口湖で勤務することになったということで、ホテル業に携わるにあたり、他のホテルに宿泊する等、何か勉強されたことはありますか。

甲信越で上位を争う人気のホテルに宿泊し、ふふ河口湖との比較を行ったりしていますね。「ここはこだわっていないんだ」と思うこともあるのですが、反対に、「ここは凄い」と感心する部分も多々あります。自分の所だけを見ていても分からないことが、他の所に行くと鮮明に見えるんです。他のホテルに宿泊することは面白いですね。

 

32室ある客室には、すべてバルコニーと露天風呂が付き、富士山を間近に眺めることができる
32室ある客室には、すべてバルコニーと露天風呂が付き、富士山を間近に眺めることができる

地の力を活かすことのできる人の存在

----ふふ河口湖は、比較的、家族連れの方が多い印象なのですが、家族連れの方に向けたサービスを積極的に提供されているのでしょうか。

 元々、ふふ河口湖が全ての世代の方に楽しんで頂くことが出来るような雰囲気であるということが大きいかもしれません。また、SNSを通して、お客さまご自身がお子様との滞在の様子を写真で上げて下さっていることも影響していると思います。

----実際、ふふ河口湖の様子をSNSで見掛けることは多いです。ホテル側でSNS映えは意識されていたのでしょうか。

 「木々が薫り、 光がゆれる、 境界のない森のリゾート」というコンセプトに沿って設えた結果ですかね。リゾートというところで、ここまでが室内・ここからが外という境界を如何に無くすかということに重きを置いています。日本では手に入らない調度品もあり、オリジナル家具も多いため、そのような点をお客さまに映えとして受け取って頂けているのだと思います。

 

周囲の森と一体化したかのような佇まい
周囲の森と一体化したかのような佇まい

----ただ、河口湖周辺には他にも似たような価格帯で自然を大切にしているホテルがあると思います。ふふ河口湖ならでは強みは何でしょうか。

 人です。働く人の気持ちは重要な要素ですね。今までのレンタル会社やコンサルティング会社で携わった飲食業に然り、現在のホテル業に然り、私は全てピープルビジネスだと思っています。建物を造って10万円で宿泊施設として提供するということは誰にでも出来ることだと思うんです。ハード面にクチコミ・評価・リピーターの方が付くかは完全に人の力です。

 ふふ河口湖で勤務するにあたり、ふふ河口湖を上司に案内してもらう機会がありました。その際、私が「景観や施設など、これだけ圧倒的な魅力があったら、心配ないですね」と口にしたところ、「それは違うんだ」と切り返されました。「富士山が見えなかったけれど、お客さまに『また来たい』と言ってもらえるかはサービスマンの力だよ」と言われました。状況に応じて臨機応変に対応することの出来るスタッフの存在は強みだと思います。

ロビーには、多種多様な観葉植物が置かれ、「境界のない森のリゾート」というコンセプトを支える要素の一つになっている
ロビーには、多種多様な観葉植物が置かれ、「境界のない森のリゾート」というコンセプトを支える要素の一つになっている

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