まず、「やや女性的」と感じるおよび「女性的と感じる」との合計回答比率(以下「女性印象比率」と言います)が高いものを見てみます。ロビースペースにアロマが香る(女性印象比率:76%)、客室通路にアロマが設置されている(女性印象比率:75.5%)、朝食でデザートが多い(女性印象比率:74.5%)、ロビースペースに花が設置されている(女性印象比率:71.5%)、バスルームでは女性用にタオルが小型である(女性印象比率:66.5%)、フロントスタッフの多くが女性である(女性印象比率:61.5%)、リネン類が徹底してこだわられている(女性印象比率:61%)、朝食に豊富なサラダ類がある(女性印象比率:59%)、客室までのアテンドが女性スタッフによる(女性印象比率:52%)、化粧用ミラーが設置されている(女性印象比率:51.5%)、食材に効能が記載されている(女性印象比率:48%)、客室内が徹底して清潔である(女性印象比率:45.5%)、スリッパが履きやすい(女性印象比率42%※高級スリッパは女性印象比率26%)、環境配慮が徹底されている(女性印象比率:34.5%)、朝食にパンが豊富(女性印象比率:32.5%)、バスルームアメニティがミニチュアボトルである(女性印象比率:32.5%)、朝食にチーズが豊富に設置されている(女性印象比率:28.5%)、エレベーター内にBGM が設置されている(女性印象比率:22%)、ルームサービスが提供されている(女性印象比率:22%)、ロビーにBGM が設置されている(女性印象比率:20%)場合等では、顧客は背後人格であるホテルパーソナリティーとして、相対的に「女性」を強く感じ取っている様子がうかがえます。
逆に「男性印象比率」が高まるサービスでは、ドアマンが設置されている(男性印象比率:64%)、館内にレベルの高いバーがある(男性印象比率:48%)、客室までのアテンドが男性である(男性印象比率:38.5%)、ホテルの外構が汚れている(男性印象比率:33%※逆に外構が徹底してきれいである場合は女性印象比率が31%と男性印象比率を上回る)、客室内シャワーの水圧が高い(男性印象比率:30.5%)、客室内に豊富なバー機能が設けられている(男性印象比率:30%)、客室内にワインオープナーが設置されている(男性印象比率:22.5%)等が挙げられます。
以上のように、「宿泊体験全体を通じた清潔感」×「上記の細かな運営内容」×「実際に接したスタッフの印象」=「人格」につながっており、さらに「人格」が「客層の統一感」を経て、「満足度」を助長する関係が認められることから、ベースとなるホテルの「人格」を適切にコーディネートすることで、顧客が抱くであろうホテルの印象を望ましい形で綿密にコントロールすることも可能と考えられ、その効果は非常に大きい可能性があると考えることができます。
2020年5月22日号 新しい視点 「ホテルの価値」向上理論 ホテルのシステム思考
第398回 いまを乗りきるイノベーティブ発想(ホテル人格)
【月刊HOTERES 2020年05月号】
2020年05月20日(水)