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毛利愼の外食エンターテインメントVol.127

奥飛騨の木工文化に触れる宿、「界 奥飛騨」の魅力

2025年03月04日(火)
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4棟の建物が中庭を囲い、回遊式の温泉リゾートになっている「界 奥飛騨」。離れの前には足湯が作られ、室内には飛騨文化をテーマにキュレーションされた選書が揃えられたトラベルライブラリーや、客室とはまた別の憩いの場として過ごしてもらいたいと、朝と晩とでブランドが変わるハーブティやコーヒーなどのドリンク類が用意されている
4棟の建物が中庭を囲い、回遊式の温泉リゾートになっている「界 奥飛騨」。離れの前には足湯が作られ、室内には飛騨文化をテーマにキュレーションされた選書が揃えられたトラベルライブラリーや、客室とはまた別の憩いの場として過ごしてもらいたいと、朝と晩とでブランドが変わるハーブティやコーヒーなどのドリンク類が用意されている

かねてよりインバウンド人気が高く、飛騨家具や組み木技法といった木工文化が栄える地としても有名な奥飛騨温泉郷の平湯温泉に、星野リゾートが「界 奥飛騨」を開業した。
 
同施設ではご当地文化をリスペクトし、旅情をかきたてる客室‟ご当地部屋“に定評のある星野リゾートの‟界”ブランドらしく、広葉樹が多く生息する奥飛騨の山々で伐採されるブナ、タモ、サクラ、ナラといった木々を用いた客室を設えている。同室は、モダンでファッショナブルなデザインでありながら、どこか懐かしさを感じる快適な空間に仕立てられており、冬場、外に雪がうず高く積もる時期でも、木のぬくもりにいただかれながらの、心にも体にも‟あたたかい“滞在を楽しむことができる。

各‟界”ブランドには、地域文化に触れることのできる客室、“ご当地部屋”というのがある。同施設で提供される“ご当地部屋”の‟飛騨MOKUの間“では、春慶塗アートや高山祭りで多様される紅の色合いを用いた飛騨染のクッションに、「飛騨産業」の曲木チェアに山中和紙の行灯、そして見ごたえのあるブナ、タモ、サクラ、ナラの木を用いたヘッドボードで‟らしさ“を表現した
各‟界”ブランドには、地域文化に触れることのできる客室、“ご当地部屋”というのがある。同施設で提供される“ご当地部屋”の‟飛騨MOKUの間“では、春慶塗アートや高山祭りで多様される紅の色合いを用いた飛騨染のクッションに、「飛騨産業」の曲木チェアに山中和紙の行灯、そして見ごたえのあるブナ、タモ、サクラ、ナラの木を用いたヘッドボードで‟らしさ“を表現した

そんな「界 奥飛騨」で体験できる“奥飛騨文化”は、客室の室礼にとどまらない。かつてこの地では、湯治客や地域のひとびとが共同浴場へ歩いて向かい、湯あみを楽しむ文化が根付いていた。そうした平湯温泉ならではの温泉文化に着想を得て、‟界”ブランドとして初の試みとして取り組んだのが、東西二つの宿泊棟、湯小屋棟、そして離れを回遊しながら湯めぐりを楽しめる温泉リゾートの創出だ。‟リゾート再生の雄”として日本の観光産業を牽引する同社ならではの視点で、土地の歴史や風土を生かした滞在体験を提供している。

ところで‟界”といえば、地域の特徴的な魅力を楽しむことができるアクティビティの‟ご当地楽“も人気だ。同地ではこちらでも奥飛騨の工芸技術を楽しむことができる。‟飛騨の匠体験”と名付けられた同施設の‟ご当地楽“は、1300年以上にわたり‟飛騨の匠”と呼ばれる職人が技術を受け継ぎ、現代の飛騨家具にも活かされている曲木技法で作る檜のバックハンドルを作るプログラムになっている。曲木技法とは木のしなやかさを生かし、蒸した木材を曲げ治具や曲げ枠に添わせ所定の形に曲げる技法だ。同アクティビティではまず木材を手にする際に、予め水分を含み柔らかくした檜の香りに癒され、体験後は別途、檜のエッセンシャルオイルを垂らした檜の枝のアロマウッドから香りを楽しむ。さらに各客室に用意されている界オリジナルの風呂敷を結ぶことで、館内バックを作ることもできる。連日このアクティビティに参加する連泊のお客さまもあるといい、実際、道々で風呂敷バックを持ったお客さまに多く遭遇した。
 
これまで、‟界”ブランドの‟ご当地楽“は、「界 玉造」の石見神楽や島根の地酒を味わう日本酒BAR、「界 加賀」の加賀獅子舞や水引飾りなど、それぞれの施設が属する地元に根付く文化を‟見る、触れる”といった‟コト体験“のプログラムが多かった印象だ。しかし昨今は、「界 奥飛騨」の”ご当地楽“のように、体験したものを持ち帰ることができる‟モノ・コト体験”のプログラムを増やしつつあるという。さらに、同ブランドで展開する文化体験には施設内で気軽に参加できる“ご当地楽”以外に、地元文化の匠のもとへ赴き、より本格的な体験をすることができる‟手業のひととき“というアクティビティもあり、国内外のお客さまから好評を得ているそうだ。「界 奥飛騨」でも将来的に、飛騨家具や春慶塗、飛騨染めといった飛騨の工芸文化に触れられる‟手業のひととき“を創生していきたいといい、実装が待たれる。

 

12月から3月半ばまで、施設外にはオリジナルデザインの和照明‟飛騨玉“が飾られ、夜から早朝までライトアップされ、雪に映えるその照明は、雪国のあたたかみを感じさせる。デザインは飛騨の山々に囲まれた温泉地の灯り、そして合掌造りをイメージし、三角の傘には高山祭、春慶塗、さるぼぼなど飛騨文化で多用される紅色が使用されている
12月から3月半ばまで、施設外にはオリジナルデザインの和照明‟飛騨玉“が飾られ、夜から早朝までライトアップされ、雪に映えるその照明は、雪国のあたたかみを感じさせる。デザインは飛騨の山々に囲まれた温泉地の灯り、そして合掌造りをイメージし、三角の傘には高山祭、春慶塗、さるぼぼなど飛騨文化で多用される紅色が使用されている

県の約81%を森林が占め、全国2位の森林率を誇る奥飛騨温泉郷は、豊かな自然に囲まれている。また、大分の別府、由布院に次いで全国3位の湯量を誇り、約140か所の源泉を有する贅沢な温泉地でもある。同施設の湯小屋の大浴場では、2つ、3つの異なる源泉から引かれた温泉が常時かけ流しで提供されており、その贅沢さが際立っている。
 
加えて、「高山陣屋」や「三町筋」、朝市などの古き良き飛騨文化に触れられる高山は高速バスで約40分、合掌造りの集落や昔ながらの暮らしや文化を体験できる白川郷も車で30〜40分と、同施設は近隣観光へのアクセスが良好な立地にある。さらに、雪景色が美しい冬はもちろん、色彩豊かな広葉樹の紅葉が楽しめる秋や、リラックス効果やストレス解消効果があるとされるフィトンチッド豊かな中で初夏から初秋は避暑地としても過ごせると、さまざまな季節に訪れたくなる魅力に溢れている。
 
筆者は今回、冬の奥飛騨を訪れたが、ぜひ違う季節にも訪れてみたいと考えている。

 
界 奥飛騨
https://hoshinoresorts.com/ja/hotels/kaiokuhida/
 

離れと客室に置かれている、青色が美しい地元・小糸焼窯元のコーヒーカップ。小糸焼は元来、‟伊羅保釉“と呼ばれる、茶色のすこしざらっとした質感の伝統釉を用いて作られる焼き物だ。二代目当主・長倉靖邦氏が伊羅保釉に顔料を加えた‟青伊羅保釉“を生み出したことから、この青色をまとった器が作られるようになった
離れと客室に置かれている、青色が美しい地元・小糸焼窯元のコーヒーカップ。小糸焼は元来、‟伊羅保釉“と呼ばれる、茶色のすこしざらっとした質感の伝統釉を用いて作られる焼き物だ。二代目当主・長倉靖邦氏が伊羅保釉に顔料を加えた‟青伊羅保釉“を生み出したことから、この青色をまとった器が作られるようになった
客室に設えられている飛騨染のクッション。モチーフの龍は、日本三大美祭りとして名高い、高山祭の法被に使われる代表的な柄であることから選ばれたという。ビビッドで鮮やかな色合いと力強いデザインは、山や森に囲まれ、木工文化が根付くこの地において、静寂の中に宿る“動”の魅力を際立たせている
客室に設えられている飛騨染のクッション。モチーフの龍は、日本三大美祭りとして名高い、高山祭の法被に使われる代表的な柄であることから選ばれたという。ビビッドで鮮やかな色合いと力強いデザインは、山や森に囲まれ、木工文化が根付くこの地において、静寂の中に宿る“動”の魅力を際立たせている
離れで提供されている、ナイトアクティビティの‟ウィスキー薫香体験“。好みのウイスキーとチップを選び、スモーカーで香りをつけたウイスキーを楽しむことができる。薫香に使われるウイスキー及びチップは日によって種類が変わり、筆者が訪れた際は、「飛騨高山蒸留所」と「江井ヶ嶋蒸留所」のクラフトウイスキーに、ナラとサクラのチップが提供されていた
離れで提供されている、ナイトアクティビティの‟ウィスキー薫香体験“。好みのウイスキーとチップを選び、スモーカーで香りをつけたウイスキーを楽しむことができる。薫香に使われるウイスキー及びチップは日によって種類が変わり、筆者が訪れた際は、「飛騨高山蒸留所」と「江井ヶ嶋蒸留所」のクラフトウイスキーに、ナラとサクラのチップが提供されていた
‟ご当地楽“の”飛騨の匠体験“。このアクティビティでは画像左後方にある半月状の曲げ治具に、予め蒸された状態の檜の板を添わせてカーブをつけてバックハンドルを作る。画像は曲線を帯びた檜を止め具にはめて、乾燥させているところだ。スケールや機器は違うが、基本的には同様の工程を経て、飛騨では椅子などの家具も作られてきたという
‟ご当地楽“の”飛騨の匠体験“。このアクティビティでは画像左後方にある半月状の曲げ治具に、予め蒸された状態の檜の板を添わせてカーブをつけてバックハンドルを作る。画像は曲線を帯びた檜を止め具にはめて、乾燥させているところだ。スケールや機器は違うが、基本的には同様の工程を経て、飛騨では椅子などの家具も作られてきたという
湯小屋棟にある大浴場の露天風呂。奥飛騨の豪雪地帯で見られる雪の回廊をモチーフに、作られている。冬場は天井穴の部分に本物の雪が降り積もること、若干ではあるが本物の雪の回廊もでき、より奥飛騨らしい空間で湯治場の湯を楽しむことができる
湯小屋棟にある大浴場の露天風呂。奥飛騨の豪雪地帯で見られる雪の回廊をモチーフに、作られている。冬場は天井穴の部分に本物の雪が降り積もること、若干ではあるが本物の雪の回廊もでき、より奥飛騨らしい空間で湯治場の湯を楽しむことができる
宿泊西棟の客室には露天風呂が備わっている。ウッドシャッターを開けば、雪景色などの美しい風景を眺めながら湯浴みを楽しめる。また、風呂にはデイベッドが併設されており、湯上がり後はそのままくつろぎながら、心地よいひとときを自分のペースで過ごすことができる
宿泊西棟の客室には露天風呂が備わっている。ウッドシャッターを開けば、雪景色などの美しい風景を眺めながら湯浴みを楽しめる。また、風呂にはデイベッドが併設されており、湯上がり後はそのままくつろぎながら、心地よいひとときを自分のペースで過ごすことができる
施設内の各所にできる大氷柱も、冬の風物詩のひとつだ。日中はわずかに溶けることもあるが、降雪や夜間の冷え込みにより、新たな氷柱が生まれる。そのため、雪景色とともに、自然が生み出す氷の芸術を楽しむことができる
施設内の各所にできる大氷柱も、冬の風物詩のひとつだ。日中はわずかに溶けることもあるが、降雪や夜間の冷え込みにより、新たな氷柱が生まれる。そのため、雪景色とともに、自然が生み出す氷の芸術を楽しむことができる
冬になると、雪が降り積もり中庭は銀世界に変わる。その中で、中庭を囲むように流れる湯の川(※源泉が流れている)だけは常の姿を保っており、岩と共に雪吊りをイメージし、曲木技法で作られたオブジェとともにお客さまの目を楽しませてくれる
冬になると、雪が降り積もり中庭は銀世界に変わる。その中で、中庭を囲むように流れる湯の川(※源泉が流れている)だけは常の姿を保っており、岩と共に雪吊りをイメージし、曲木技法で作られたオブジェとともにお客さまの目を楽しませてくれる

担当:毛利愼 ✉mohri@ohtapub.co.jp

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