2003年の創業以来、サイトコントローラー「TEMAIRAZU」シリーズを通して宿泊施設を強力にサポートする手間いらず株式会社。2024年2月より、宿泊施設の独自の料金在庫管理アルゴリズムを容易に自動化することを可能とする新型予約サイトコントローラー「手間いらず 自動」を提供開始した。本インタビューでは「料金調整」「販売先調整」「連泊制限」「最安値確認」「報告業務」の5つの主要項目の自動化機能を備えた同製品の魅力をお聞きした。
ディストリビューションマネジメントのテクノロジーで人々の手間をなくしていきたい
当社はもともと、「氾濫する情報の交通整理を中立的な立場から行い、消費者の生活に指針を提供することで、社会への貢献を果たす」ことを目的として、2003年に比較.com株式会社という商号で創業しました。あらゆる分野の商品・サービスの総合的な比較情報を提供するメディア媒体、総合比較サイト『比較.com』を運営を通して、一般消費者の利便性の向上と参画企業のビジネスチャンスの支援という、主にBtoC向けの事業を推進してきました。
その後、宿泊予約サイトコントローラー「手間いらず!」を運営していた企業を買収し、BtoB向けeマーケットプレイス事業へ本格的に参入しました。当時の宿泊旅行業界は、宿泊予約サイトの認知度向上・利用者の増加により、複数の予約サイトへ宿泊プランを掲載することで集客を行い、稼働率を上げることがテーマとなっており、宿泊施設の担当者は残室数や予約の管理での業務負担が大きくなっていました。そういった状況下で、「手間いらず」が、予約サイトの一元管理による効率的・効果的な運用で、集客力の向上と運用コストを削減することで宿泊施設の経営を中立的な立場からサポートしてきました。
その後も、インバウンドの増加による人手不足や生産性向上という課題に対して真摯に向き合いサービスの提供を続け、2017年に当社の主力事業として、サービス名の「手間いらず」を社名として起用し、業界における認知度・ブランディング向上と、より効果的な事業展開を目指し「手間いらず株式会社」に商号を変更しました。
当社は世界中のモノやコトとの連携で⼈々の⼿間をなくし、それによって創出されるたくさんの出会いや時間などが社会を豊かにしていくことを⽬指しています。2003年の創業以来20年あまりサイトコントローラー「TEMAIRAZU」シリーズを通して、多くの宿泊施設様・パートナー様のサポートをすることが、業界の成⻑に繋がると考え、ディストリビューションマネジメントテクノロジーのリーディングカンパニーとしてプロダクトを提供し続けてきました。
自動化による最小の人手で、利益の最大化を実現
新型コロナウイルス感染症拡⼤で大きくダメージを受けた宿泊業界ですが、現在は落ち着きを見せ、円安も相まってインバウンドを含む観光需要は急速に回復しています。宿泊施設は追い⾵を受けて売上を伸ばし、新規宿泊施設の開業も増えていますが、その⼀⽅で宿泊施設の⼈⼿不⾜が深刻化し、働くスタッフの業務負荷は⼤きくなっています。受け入れ態勢の確保ができていないために高稼働を狙いにくかったり、レベニューマネジメントに時間を使うことができず、さらなる売上・利益を向上させるための戦略的な取り組みが難しい状況にあります。「売上や利益を最大化するチャンスが目の前にあるにも関わらず、それを掴むことができていない」と、宿泊施設の皆様との日々の会話でよく聞いていました。
そういった状況を打破するために、売上を最⼤化するための機能に加えて、販売管理のうち特にレベニューマネジメントに関わる作業について、宿泊施設独⾃のアルゴリズムを簡単に⾃動化し、業務の効率化とコスト削減によって極限まで利益を追求できるようなサイトコントローラー「手間いらず 自動」を開発しました。
宿泊施設にとって難しいレベニューマネジメントを、スキルや経験のあるハイレベルな人材を採用したり、高価なツールを導入せずとも、簡単にマーケットの在庫・料金情報を把握することができ、データを元に決定した在庫・料金を一画面上で素早く販売チャネルへ設定することで、収益向上を実感してもらいたいです。
⼈⼿不⾜の状況下であっても、最⼩の⼈⼿で最⼤の利益を実現し、その利益で様々な投資をしていくサイクルを作る。サービスの提供を通じて、そんな価値提供をしていきたいと考えています。
手間いらず自動のシステム概要としましては、名前の通り「自動」で「利益」の追及を行うことができるサイトコントローラーです。現在のマーケット状況で宿泊施設が欲しい機能を網羅し、レベニュー周りの自動料金調整機能はもちろんのこと、泊数制限や分析、報告業務なども自動化することで売上増加に加え、人的コストの削減から利益の向上につなげていただけるプロダクトのコンセプトでリリースしました。
●料金調整を自動化
レベニューコントロールに精通した人材がいなかったり、対応できる人員も少なく、販売状況をこまめに確認して手動で細かく価格調整する時間が無いような状況でも、作業を自動化して工数を削減できる機能をご用意しました。在庫数や稼働率の状況に合わせた、販売価格変更のルールを設定しておくだけで、手間いらずが予約サイトの価格調整を自動で行います。価格変更のルールは直近365日の範囲内で適用期間毎に予約の入り方に合わせて自由に設定することができます。価格変動の履歴も確認することができるので、販売戦略に沿ったルール設定で価格調整業務をセミオート化して結果を振り返ることで、販売の最適化による利益の最大化を実現することができます。
●販売先調整を⾃動化
価格調整の自動化に加えて、OTA等の販売先の調整も自動化します。直近365日間の在庫数や稼働率に合わせた、販売先変更のルールを設定しておくだけで、手間いらずが販売先のON・OFFを自動で行います。稼働が高い日やチェックイン日間近は海外OTAなど手数料が高い販売先での提供を止めたり、自社公式サイトのみ販売となるように調整を行うことで、コストを最適化し、収益の最大化に繋がる販売を行うことが可能になります。
●連泊制限を⾃動化
連休で稼働が低い曜日が発生したり、1泊の宿泊客が多く、チェックイン対応に時間や人手がとられたり、清掃コストがかかっている状況に対して、連泊予約を戦略的に獲得し、単泊で埋まりにくい日程含めた稼働を安定させ、コストも抑えられるような販売をサポートする機能を搭載しています。連泊予約については、LOS設定(連泊制限)で最低泊数を各海外OTAに一括で登録をすることができます。国内OTAのプランに対しても連泊制限設定に連動する自動売止設定を行うことで、連泊・高単価プランを優先的に販売でき、稼働率や平均客室単価を上げる販売戦略を実行できます。また、外部のRMS からの料金更新よりも権限の強い機能として「ハードルレート設定」も搭載し、通常よりも高い料金設定であれば受け入れるなどの攻めの販売にも対応しています。
●最安値確認を⾃動化
OTAでの管理しきれないプロモーション価格を、手間いらずが⾃動収集することで、OTAごとに確認する時間を⼤幅に削減できます。具体的には、自社公式サイトの販売価格がOTAを上回っていないかを自動でチェックして可視化し、手間いらず画面上へのアラート表示とメール通知を受けてOTAの価格を調整することで、自社公式サイトの販売価格をベストレートで維持することができます。それによって直接予約が増え、OTAへの手数料が抑えられるので、利益向上や長期的にはダイレクトマーケティングによるリピーター獲得にも繋がります。
また、競合施設の日々の販売価格や在庫状況をデータで取得し、2つの条件値でプランの販売価格を比較閲覧することができる機能も搭載していますので、競合施設の販売動向を簡単に把握し、効果的な価格設定で優位な販売を行うことができます。
●報告業務を⾃動化
予約状況や売上状況などのデータの集計結果を報告資料へまとめる作業に時間がかかり、内容を細かく分析して販売戦略を練る時間が取れない状況に対して、手間いらずが自動でレポートの生成・送信をすることで、作業時間を削減し、情報分析や将来に向けた販売戦略立案のための時間を創出します。手間いらずの分析機能では、過去の予約実績に基づいた客室稼働率や平均客室単価、RevPARやブッキングカーブ、リードタイム集計などを含む、予約・売上状況をサイト別と部屋タイプ別に確認することができます。これらの集計結果を自由なレイアウトにカスタマイズしてレポートの作成ができます。高額なツールを導入したり、手作業で決められたフォーマットに数値を入力する必要はありません。レポートはPDF形式でダウンロードしたり、指定日時に自動でメール配信することもできます。
日々のレベニューマネジメント業務を自動化して売上135%増加に成功
ご利用いただいている宿泊施設様からは、「レベニューマネジメントのために新規で別システムを導入しなくてもよくなった」「一つのサービスで複数のことができることが良い」などのお声をいただいています。
事前に設定した、稼働状況に合わせた価格変更のルールで予約サイトの販売価格を自動調整する機能を活用した導入施設様から、利用を始めて数カ月後には売上が前年同月比約135%に、平均客室単価が約115%に増加し、設定した機能の効果が出ている、導入して本当によかったとの嬉しいお声をいただきました。
宿泊施設様によって、レベニューマネジメント業務を感覚で行なっている、ある程度ルール化することはできているなど状況が異なりますが、やりたいことを「手間いらず 自動」に当て込んでいただき、システムによって24時間365日管理ができることで、作業時間の削減や設定ミスなどのヒューマンエラーの抑制にも繋がります。
おかげさまで導入いただいている宿泊施設様は増えていますが、まだまだこれからのサービスです。使用感について営業部門が宿泊施設様に直接ヒアリングをし、挙がった課題をプロダクトチーム内で共有して対応を検討、開発部門にて改修・リリースするサイクルをスピーディーに繰り返すことでサービスの強化を行っています。自社開発、自社サポートによる継続的なやり取りで、様々な形態の宿泊施設様の業務自動化のサポートができると考えています。
宿泊業界におけるニーズの変化に、手間いらずは応え続けていきます
サイトコントローラーの基本的な役割は、在庫・料金・予約の一元管理による業務効率化で、集客の施策や、おもてなしのための企画検討を行うための時間を創出し、さらなる売上・利益向上に繋げていただくことだと考えております。ただ、この役割は当たり前に提供されるべきもので、現在のマーケットがサイトコントローラーに対して求めている役割は、新しいフェーズに移行していると感じています。
チャネルマネジメント以外の部分で提供されているサービスについても、サイトコントローラーの同一サービス内でカバーすることで、宿泊施設の課題を多岐にわたって解決し、マーケットの成長に貢献できると考えています。手間いらず自動のプロジェクトはその一歩となります。
今後2年以内に「手間いらず 自動」の導入を1000施設以上、サイトコントローラー「TEMAIRAZU」シリーズ全体の導入を6000施設以上を目指しています。
新たな価値を生み出し、選択肢を広げ、マーケット状況に応じた対応を可能にして、リスクヘッジできるような存在として、これからも宿泊施設様にお役⽴ちできるよう進化し続けてまいります。