2025年3月21日、JR大阪駅近隣の「うめきた2期地区開発事業」の中核となるグラングリーン大阪・南館に全482室の「ホテル阪急グランレスパイア大阪」が誕生した。株式会社阪急阪神ホテルズにおいて、2019年に開業したホテル阪急レスパイア大阪の上位ブランドに位置づけられ、アップスケールのホテルカテゴリーとなる。本稿では総支配人の森崎 陽介氏に同ホテルの戦略をお聞きした。

ホテル阪急グランレスパイア大阪
総支配人
森崎 陽介氏
〈profile〉1990年ホテル阪神(現ホテル阪神大阪)入社後、2015年4月旧宝塚ホテル宿泊部 統括マネージャー、2019年宿泊事業本部セールス&レベニューマネジメント部 課長、2024年ホテル阪急レスパイア大阪 総支配人を歴任。2025年2月付でホテル阪急グランレスパイア大阪・ホテル阪急レスパイア大阪・新阪急ホテルアネックス 総支配人に就任し、現在に至る。
■はじめにグランレスパイアの施設の特徴についてお知らせください。
「Natural State」をデザインコンセプトに、全体的に緑を多く配置しています。客室についてもアースカラーを基調としたデザインになっておりますので、お客さまに自然体で過ごしていただける、ワンランク上の安らぎと居心地の良さを演出しています。また、JR大阪駅直結のグラングリーン大阪内に開業するということがホテルにとって大きな強みだと感じています。駅からの立地はもちろん周辺施設も魅力的で、同じ建物内の「うめきた温泉 蓮」とは宿泊者エレベーターで直結しています。ホテルを拠点に周辺エリアだけでもお楽しみいただけることは一つの訴求ポイントとなっています。
■宿泊者専用ラウンジやクラブラウンジの設置などレスパイアブランドとの差別化要素と見受けておりますが、サービス面ではいかがでしょうか。
基本的なコンセプトに変わりはありませんが、1000室を超えるホテル阪急レスパイア大阪では1日当たり2000人以上のお客さまがいらっしゃることもあり、サービスが一部限定的にならざるを得ませんでした。例えば、ご滞在中にお部屋から追加備品をご希望の際にはスタッフがデリバリーをせずに、フロントまでお客さま自身に取りにきていただくフローで運用しています。一方で室数ベースでは約半数の規模となる当ホテルでは、このような今まで限定的になっていたご要望に関し、踏み込んだサービスをご提供できるよう手掛けていく方針です。
■メインターゲット層や想定のインバウンド比率についてお聞かせいただけますか。
旅慣れた大人のインバウンドツーリストをメインターゲットとしており、インバウンド比率は7~8割を見込んでおります。当ホテルの特徴として部屋タイプはすべて2名利用が標準になっていることもあり、エキストラベッドは設えない方針です。3名以上のファミリー利用でのお問い合わせの際は、2部屋または3部屋でのご案内となりますが、3~4名で利用可能な部屋タイプを有するホテル阪急レスパイア大阪と連携していくかたちを想定しています。
■ターゲット層の主となるインバウンドゲストへのサービス力向上のため、スタッフの語学研修にも力を注いでいるのでしょうか。
会社全体で英会話教育に取り組んでいます。社内で募集をかけ、初級、中級、上級と3ランクに分けて、学びを希望するメンバーが受けられる形式です。教育や資格試験の費用に関しても会社負担で後押しをしています。当ホテルでは24名の正社員と15名のアルバイトの計39名が在籍しており、そのうち5名のスタッフが外国籍です。それ以外にも語学が堪能なスタッフや、研修を受講中のスタッフも複数名在籍しています。
■続いて、宿泊者専用ラウンジ、クラブラウンジの詳細についてお聞かせいただけますか。
6階宿泊者専用ラウンジではドリンク提供、27階クラブラウンジでは10:00~21:00の時間帯で軽食やアルコールを含めた約100種のメニューを提供しています。このうち、約70種がアルコールのメニューとなります。ターゲットとなる大人の方に楽しんでいただけるよう、バーの雰囲気を演出するメニュー数をそろえました。
■内覧の際、各客室タイプに災害備蓄品が設置されているのを見かけましたが、どのような経緯だったのでしょうか。
当グループホテルで初の取り組みとなりますが、バックヤードでは収納スペースが限られることもあり、全室に災害備蓄品を設えました。いざ災害が起きてしまった際、お客さまやスタッフがパニックに陥ることも想定され、どのようにお客さまにお配りするかをシミュレーションし、いち早くお届けするには客室内に設置するのが良いのではと考えました。1名あたり3日分の備蓄として食事、飲み物、ポータブルトイレを全室に2名分設置しております。消費期限は7年ですが、期限前に入れ替えていくことにしています。
世論ではさまざまな予想が交わされていますが、1970年に大阪で開催された万博と同様に多くのお客さまがお越しになると考えています。開会後、多くのポジティブなコメントがSNSで発信され、それに連動して、大阪へ旅行する際にはせっかくだから万博にも、と徐々に旅行機運が高まると思われるため、期待値は非常に高いですね。


●関連記事「『レスパイア』の上位ブランドとして展開、全482室の『ホテル阪急グランレスパイア大阪』2025年3月21日開業」
https://www.hoteresonline.com/articles/13693
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聞き手・文 オータパブリケイションズ 臼井 usui@ohtapub.co.jp