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毛利愼の外食エンターテインメントVol.130

創業100年に向けて!三つの戦略で進む大東企業の強みと未来

2025年03月19日(水)
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同社のシグネチャーブランドである「北大路」銀座本店外観。プライバシーが守られる数寄屋造りの個室で、クオリティの高いサービスと共に落ち着いて過ごせる空間になっている。加えて、サービス料や個室料など明確な料金設定が提示されている点が信頼を得ており、フォーマルな接待シーンで長年、多くのお客さまから選ばれ続けている
同社のシグネチャーブランドである「北大路」銀座本店外観。プライバシーが守られる数寄屋造りの個室で、クオリティの高いサービスと共に落ち着いて過ごせる空間になっている。加えて、サービス料や個室料など明確な料金設定が提示されている点が信頼を得ており、フォーマルな接待シーンで長年、多くのお客さまから選ばれ続けている

銀座エリアを中心に、新宿、赤坂等、一等地へのドミナント戦略で快進撃を続ける大東企業㈱。昨今は、本年1月に銀座にオープンした焼肉業態の「THE ROOM GINZA MARUUSHI」や、不定期開催ではあるが「北大路倶楽部 CREATIVE ITAMAE」のおまかせコースなど、‟税込み、ドリンク飲み放題混みで定額プラン“の提供など、よりコスパのよいサービスも展開している。もともと同社のブランドは“高級食材をリーズナブルに楽しめる” という強みに加え、プライバシーが守られる個室戦略で店舗展開を広げることで、特に会食・接待シーンにおける高い支持を得てきた。コロナ過もあり、昨今では若干、接待や宴会での需要は低下しているというが、その分、個人での会食やインバウンドにおける需要が伸びているという。そこで同社代表取締役社長の北尾拓也氏に同社がなぜ、このような戦略を取っているのかについて伺った。
 
 

大東企業㈱代表取締役社長の北尾拓也氏。現在、バンコクでの出店に成功しているが、今後は欧米へも展開を広げたいと語り、すでにオーストラリアでの出店が具体的に動き出しているという
大東企業㈱代表取締役社長の北尾拓也氏。現在、バンコクでの出店に成功しているが、今後は欧米へも展開を広げたいと語り、すでにオーストラリアでの出店が具体的に動き出しているという

「まずは銀座や京橋といった高級エリアに集中出店することで、ブランドの一貫性を維持しながら知名度を高めることができる点がありました。加えて、近隣エリアに複数の店舗を構えることで食材の大量仕入れによるコスト削減を可能にできますし、近隣店舗間でのスタッフの応援やシフト調整がしやすいなど、人件費の最適化を図れる面も利点です。また居酒屋業態は別として、他のブランドでは基本的にコースのみでのご提供にさせていただいていますから、食材の在庫管理をしやすく、フードロス等の無駄も最小限に抑えられるといったメリットがあります。加えて、現場における調理や提供の効率化を実現しやすく、かつ業者様との交渉がしやすいことから安定した仕入れルートを確保できので、黒毛和牛や雲丹、フォアグラといった高級食材をリーズナブルにご提供することにもつながっています。もう一点、弊社は本部機能を小さく構えているのですが、そうすることでお客さまにはもちろんのことですが、従業員にも還元できるスキームを作っています。この点も業態を健全に維持することにつながっていると思いますし、こういったひとつひとつは小さなことではありますが、それらを積み重ねることで、例えば‟銀座は高い“といったイメージを払拭し、お客さまに対して味や食材、サービスは‟銀座”クオリティをご提供しつつも、リーズナブル且つ明朗会計な仕組みを実装してきたことで、幹事様や秘書の方がたの信頼を得てきたように思います」。
 
そういった戦略に加え、昨今、オールインクルーシブでのプラン提供を増やしつつある理由は何なのだろうか?
 
「ひとつは私自身も経験することなのですが、グルメサイトなどで予算を想定して飲食店に出向いても、場の盛り上がりによっては思いもよらぬ予算オーバーになっているということってありますよね(笑)? ですから、弊店にいらしていただく際はそういった憂いなく、幹事の方も安心してお食事や宴を楽しんでいただきたいという思いがあります。最近は個人的な飲みの場も、気軽なところで回数多くというよりは、回数は減らしてちょっといいものを食べたいという傾向が増えつつありますから、そういったお客さまからの支持も増えています。加えて、昨今はインバウンドのお客さまも増えており、その市場に対しても料理の美味しさやおもてなしの心と併せて、オールインクルーシブで明朗会計であることは、異国の地でのトラブル回避にもつながりますから、魅力として映っているのではないかと推察しています。ホテルのコンシェルジュの方たちからの送客が増えている理由の一端にも、その点はあるのではないかと考えています」。
 
そんな中、同社は2年後、創業100周年を迎えようとしている。そこに向けた取り組みなどはあるのだろうか?

「まずはこれまで同様にということになりますが、出店を続けていく予定でおり、その中には海外での展開も視野にいれています。さらに地方創生への参入も考えており、こちらは北大路ブランドをベースにした宿泊事業も含めた展開を検討しています。加えて、SNS発信の強化も課題であると考えています。弊社はこれまで、SNSにおける発信には積極的に力をいれてきておらず、お客さまの自然発信に頼るところが大きかったのですが、おかげさまでさまざまな国の方たちが弊社の店舗での体験をSNSで発信してくださっているおかげで、現在では和食業態も焼肉業態も3割強がインバウンドのお客さまによる訪問になっています。そういった意味で既にインバウンドのお客さまとのコンタクトツールとしての土台は出来つつありますし、有効性も証明されているので、今後はその土壌をさらにふくよかなものとする意味でより和食に興味を持っていただけるストーリーや情報を発信し、インバウンドの方がたからの評価に繋げていきたいと思っています。

もう一点は人材育成についての取り組みです。現状すでに‟板前オープンスクール“という形で和食職人の育成とキャリア支援についてはスタートしていますが、今後はさらにその面を強化していきたいと考えておりますし、彼らの活躍の場を増やすことも大切だと考えています。これまでお客さまからいただいてきた支持、そしてSNSに対してお客さまがポジティブな発信をしてくださっているのも、‟いいものをいい場所で、リーズナブルに美味しく、そしてホスピタリティと共にご提供する“という弊社のコンセプトを実装すべく、現場のスタッフ全員が努力してきてくれたからこそだと思っています。それには現場スタッフが疲弊することなく、サービスや調理に従事できる環境作りが大事です。そういった意味で、もちろん経営的な面も含めですが、より現場でのパフォーマンスが顧客満足度につながる仕組みや環境作りといった点を強化していきたいと思いますし、日々、その点について考えを巡らせています」。
 
同社のブランドは、いずれの店舗もリピーターが多いという。飲食店溢れる一等地で、リピーターを確保することは決してたやすいことではない。北尾氏が語るように、そういった店作りをし得ているのは短期的なアプローチではなく、長年に渡る積み重ねがあってこそだ。そういった‟100年企業“が一等地で培ってきた歴史に触れるという意味で、成長期や発展期にいる企業はもちろんだが、成熟期を迎えようとする中でさらなる挑戦や試行のタイミングを迎えている事業者はぜひ、同社の店舗に足を運んでみてはいかがだろうか?
 
大東企業㈱
https://www.daitohkigyo.com/
 

黒毛和牛と本格板前和食を食べられる「東山」ブランドの料理から。「北大路」ブランドに比べると、和モダンな空間にカウンター席なども設えるなど、ビジネスカジュアルな接待や親しい関係者との会食の際に利用しやすいコンセプトになっている
黒毛和牛と本格板前和食を食べられる「東山」ブランドの料理から。「北大路」ブランドに比べると、和モダンな空間にカウンター席なども設えるなど、ビジネスカジュアルな接待や親しい関係者との会食の際に利用しやすいコンセプトになっている
「北大路」ブランドコース一例。各店舗には寿司や和食など、熟練の職人が揃っており、彼らは後進の育成プログラムである“板前オープンスクール”における指導にもあたっており、本年4月より、ふぐ調理師免許取得を3年かけて目指す‟板前3年キャリアプラン”を導入するという
「北大路」ブランドコース一例。各店舗には寿司や和食など、熟練の職人が揃っており、彼らは後進の育成プログラムである“板前オープンスクール”における指導にもあたっており、本年4月より、ふぐ調理師免許取得を3年かけて目指す‟板前3年キャリアプラン”を導入するという
銀座でも圧倒的な人気を誇るカジュアル焼肉の「YAKINIKU MARUUSHI」から誕生した、全室個室焼肉業態の「THE ROOM GINZA MARUUSHI」。肉の目利きが選んだA4/A5の黒毛和牛をベースに宮崎牛などのブランド牛を織り交ぜるなど、複数のコースが展開されている。いずれもフリードリンク付、個室料・サービス料・税込のオールインクルーシブで、一人1万円からコースが用意されている
銀座でも圧倒的な人気を誇るカジュアル焼肉の「YAKINIKU MARUUSHI」から誕生した、全室個室焼肉業態の「THE ROOM GINZA MARUUSHI」。肉の目利きが選んだA4/A5の黒毛和牛をベースに宮崎牛などのブランド牛を織り交ぜるなど、複数のコースが展開されている。いずれもフリードリンク付、個室料・サービス料・税込のオールインクルーシブで、一人1万円からコースが用意されている
海外第一号店として出店したタイ・バンコクの「北大路 バンコク店」。日本にいるかような気分になる庭園を臨むダイニングに、9部屋の個室を備えた2階建ての一軒家で展開している。日本食ファンが多い現地で、本格的で美味しい高級和食が食せると富裕層にファンが多いという
海外第一号店として出店したタイ・バンコクの「北大路 バンコク店」。日本にいるかような気分になる庭園を臨むダイニングに、9部屋の個室を備えた2階建ての一軒家で展開している。日本食ファンが多い現地で、本格的で美味しい高級和食が食せると富裕層にファンが多いという
昨年、開講2周年を迎えた‟板前オープンスクール“。年齢、性別、国籍、経験を問わず、受講料不要で安定した収入を得ながら寿司や和食を学べる職人育成プログラムとして創生した。今後受講生には、海外の自社店舗で挑戦できるよう、カリキュラムの見直しも進めているという
昨年、開講2周年を迎えた‟板前オープンスクール“。年齢、性別、国籍、経験を問わず、受講料不要で安定した収入を得ながら寿司や和食を学べる職人育成プログラムとして創生した。今後受講生には、海外の自社店舗で挑戦できるよう、カリキュラムの見直しも進めているという
今年3月には‟和食コース“の受講生が、学びの成果をお客さまに披露する機会を設けるべく、‟北大路板前オープンスクール特別ランチ”を、「個室会席 北大路 赤坂茶寮」の平日限定ランチで提供。今後も折々、こういった場を設けていくという
今年3月には‟和食コース“の受講生が、学びの成果をお客さまに披露する機会を設けるべく、‟北大路板前オープンスクール特別ランチ”を、「個室会席 北大路 赤坂茶寮」の平日限定ランチで提供。今後も折々、こういった場を設けていくという

担当:毛利愼 ✉mohri@ohtapub.co.jp

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