人格の源泉を探りますと、「感じた人格が具体的に『誰』に近いと思うか」という質問に対しては、多くの人が「フロントスタッフ」や「接したスタッフ」に近いと答えていました。また旅館では特に「女おかみ将」の影響を強く受けているようです。
これらスタッフ以外で人格性の源泉を探りますと、「全体を通じて自然に生じていると思う」という回答が多く、その他「ブランド」、「支配人」、「客層」へと続きます。人格発現の契機がどのようなものであれ、このようにホテルの人格が生じた際、顧客のリピーター化に大きく貢献することが分かっています。また、別の調査では、人格と客層の統一感と満足度との関係を追求した調査も行ないました。その結果、「ホテルの人格が客層の統一感を連想させ、この客層の統一感が満足度を助長させる」と解釈することができました。
ここで、さらに踏み込んでみます。望ましい「人格」とはどのような人格であるかという視点です。まずは、今回の調査結果をご紹介します(全国男女200 名に対するインターネットアンケート調査、2020 年弊社実施)。
本調査では、女性っぽい印象を感じるホテルと、男性っぽい印象を感じるホテルがある場合、どちらを望ましいと感じるかという調査を行ないました。その結果、女性っぽいホテルを望ましいと考える人の割合が10%、やや女性っぽいホテルを望ましいと考える人の割合が29%と合計39%が女性っぽいホテルを望ましいと考え、一方男性っぽいホテルを望ましいと考える人の割合が1.5%、やや男性っぽいホテルを望ましいと考える人の割合が6.5%と男性っぽいホテルを望ましいと考える人の割合は合計8%という結果でした。
「どちらでもない」と回答した人(全体の53%)は、男性っぽいホテル、女性っぽいホテルのいずれであっても、実際のサービスが良ければ支持してくれる客層だと考えますと、女性っぽいとの印象を与えるホテルは相対的に大きな顧客満足度につながる可能性が考えられます。
以上のように、人格が客層の統一感も感じさせ、満足度を助長すること、またその人格が女性っぽい人格であれば、一層支持されやすい可能性があること、接したスタッフ以外で人格性の源泉を探りますと、「全体を通じて自然に生じていると思う」という回答が多いことから、女性っぽい質感を感じるサービス要素にはどのようなものがあるのか改めて整理しておきたいと思います。