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2020年4月24日号 FROM THE PUBLISHER 太田進

FROM THE PUBLISHER 太田進 Mise en place

【週刊ホテルレストラン2020年04月24日号】
2020年04月23日(木)
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 今のような時期だからこそ、錯綜する情報に惑わされることなく冷静に未来を見据え、来たるべき時のための備えをしておくことが重要だ。

 私が卒業したアメリカ ニューヨークにある料理学校「The Culinary Institute of America(CIA)」では、入学した直後、基礎を学ぶクラスで最初に「Mise en place」という言葉を習う。「準備」や「下ごしらえ」と訳されるこの言葉は、忙しい店のキッチンオペレーションにおいて大変重要だということを繰り返し教えられる。

 いつも満席のような忙しい店では次から次へとオーダーが入り、キッチンは戦争状態だ。そんな中で料理人はすべて周到に準備したものを調理をし、料理をスムーズにゲストに提供できなくてはならない。「何が見つからない」とか「ソースがなくなってしまった。今から作れ」などとやっている場合ではない。そんなのは戦争で言えば最前線での銃撃戦の真っ最中に玉が切れてしまうことと同じ。決してあってはならないことだ。
 

 そのために、シェフと長年の経験を持ち予約の状況を把握しているメートル・ドテルがその日にどのくらい、何が出るかを想定し、スタッフに「準備」をさせる。その読みが正しければオペレーションはスムーズに回るし、読みが浅かったり、想定外の注文が集中するなどその読みが外れてしまえばオペレーションは狂うことになる。
   
 これはプロの世界では当たり前だ。プロ野球でイチローや落合博満がバッターボックスに入るまでにどれだけの練習=準備をしているかは皆さま一度は聞いたことがあると思う。先日お亡くなりになった志村けんさんも自らを「慎重派」とおっしゃっていて、テレビや舞台でアドリブに見えるようなことも実はすべて台本通りであり、それをお客さんに分からせないように稽古を徹底的にやっているのだと以前語っていた。

 今、新型コロナウィルスの問題でほぼすべてのホテルやレストランが絶望的な状況と言えるかもしれない。しかし、ホテルやレストランも同じプロの世界。来たるべき時を想定し、ひたすら磨き、準備をするべき時と考えることもできる。何を準備すればよいか分からないというリーダーはいないはずだ。こういう時だからこそ、以前から足りない、弱いと思っていたことを改善することができるとも言える。
     
 錯綜する情報に関しては影響を受けすぎる必要はない。ニュースは人によって“作られる”もの。皆が冷静になり、情報に流されたり、影響を受け過ぎたりすることがないように願っている。
      
 今はウィルスを封じ込めることが先だが、時期は不明ながらもこの事態は必ず収束し、その先には復興、ビジネスの再開がある。その際に皆さまがどのようなスタートを切れるのか。今はそれに備え、想像力を高め、腕を磨き、備える機会としていただきたい。

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