近年の食物アレルギーを含むアレルギー疾患の急増を受け、アレルギー疾患対策への指針策定を国に義務づける「アレルギー疾患対策基本法」が2015年より実施されたことから、フードビジネスに携わる企業はもちろん、国民もまたアレルギー疾患に関する正しい知識を備え、注意を払うことを努めなければならなくなった。そこで、現時点の当事者だけでなく、改めて識しるべき「アレルギー対応」について発信する。
NPO 法人アレルギーっこパパの会
理事長
今村慎太郎
Shintaro Imamura
〈Profile〉娘の食物アレルギーをきっかけに、アレルギー対応力が高い企業が食物アレルギーのない人たちから選ばれる社会を目指し、2013 年NPO 法人アレルギーっこパパの会を設立。研修・講演、メニュー開発やコンサルティング、アレルギー対応のためのコミュニケーションWEBサービス「アレコミュ」で、ホテルや飲食店など外食企業のアレルギー対応支援を行なっている。
NPO 法人アレルギーっこパパの会 http://www.arepapa.jp/
2015 年の食品表示法施行から5 年の猶予期間を経て、20 年4 月より新しい食品表示制度に完全移行されます。これまでの食品表示は、食品衛生法、JAS 法、健康増進法の目的が異なる三つの法律でそれぞれに表示ルールが定められていたため、複雑で分かりづらくなっていたものが、この度の食品表示法になったことで一元化されるとともに、表示ルールの改訂も行なわれています。新しい食品表示制度には、新たな制度もありますが、今号では、アレルギー表示に関し、事故を防ぐ上で特に大切だと考えられるポイントをご紹介します。
なお、以下では、20 年4 月まで使用できる表示( これまでの表示ルール) を「旧表示」とし、20 年4 月から完全移行される表示ルールを「新表示」と表現します。今現在は、新表示に移行するための猶予期間であり、旧表示と新表示のどちらか一方を使用することが認められています。