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価値を創るホテリエ 第9回 連載 価値を創るホテリエ

レストランのレベニューマネジメント

2018年10月29日(月)
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レベニューマネージメントの考え方が必要なのは、宿泊部門だけのことではありません。
宿泊部門に於いて売るべき部屋の数が決まっているのと同様、レストランの席数も決まっています。ですから宿泊のRevPARと同様に考えると、一座席当たりの売り上げ x 座席稼働率という考え方になります。

ところがレストランが宿泊の場合と異なるのは、①単価を決めるのは顧客(店側が決められるのは価格帯まで)、②稼働率が100%を超える(営業時間内に何組かの顧客が同じ席を使う)ことができる、の2点です。

これを踏まえて、レストランのレヴェニューマネジメントに於いて目指すのは、「RevPASHの極大化」ということになります。このRevPASHというのは、“1時間当たりの売り上げ高を座席数で割った数字”で、「1つの席が1時間にどれだけの売り上げをあげるか」を表します。
ここには、高い売り上げを上げることができたか(=絶対値)に加えて、いかに効率よくオペレーションができたか(=座席稼働率)、という要素が含まれている為、座席稼働率 x 平均単価でも求めることができ、レストランの収益を評価するうえで有効な物差しと言えます。

ラーメン店とフレンチレストラン
ラーメン店とフレンチレストラン

この例で見る通り、客単価の高いフレンチレストランは売り上げは上がるのですが、座席の稼働率が低い為に、効率性の面では問題があります。
これを改善する為には、①お客様の数を増やす(→魅力を高める為のメニュー内容の検討、価格帯の検討等)、②座席数を減らす(→収益の上がる用途へのスペースの割譲を検討等)、③営業時間の短縮(→定休日の導入を含む)の3点から検討を行う必要があることがわかります。

一方で顧客稼働がある程度高いレストランの場合、改善すべき検討項目は同じですが、さらに収益性を高める為の検討へ、その視点が変わります。

①お客様の数を増やす(→回転率を上げる為のメニューの検討=提供時間短縮の為にメニューの数を絞り込む、価格帯引き上げの為の検討等)、②座席数を増やす、③営業時間の延長、となります。
ただし、②・③は直ぐに対応できるものではありませんので、検討の中心は①、特に稼働率・座席回転率を上げることになります。
ホテルのレストランの場合、ラーメン店などとは違い、ゆっくり食事を楽しむ、というのも付加価値のひとつですから、何回転もさせることはできませんが、人気のバイキングレストランなどでは、予め時間帯を設定して入れ替え制を採っているところもあるようです。
また、予約についてはお客様の来店が遅れたり、来られなかったり、というリスクがあることから、ランチタイムについては11時半までの予約しか取らない、予約を受ける座席数を全体の半分までに抑える(=フリーで訪れるお客様にも対応できる余地を残す)、などの対応も考えられます。

ただ一般のレストランでは来店時間を決めるのはお客様ですし、その時間はどうしても重なる傾向があります。
例えばランチ営業等に於いては、店側の思いは「2回転はさせたい」ですが、お客様の来店時間は12時~13時の間に集中しますので、2回転できずに、「取りこぼし」が生じてしまうケースも多いようです。
この「取りこぼし」を極力少なくするためには、お客様の来店時間を分散させる工夫が必要になります。
例えば「11時半までにご来店のお客様は大盛り無料」を謳って、がっつり食べたい男性客を早めの時間に誘導し、「13時以降ご来店のお客様にはデザートをサービス」して、食後にゆっくりしたい女性客を遅い時間に誘導する、というようなことが考えられます。
「売り上げをあげる」「経費を削減する」といった目先の大まかな指標で考えようとすると、その解決策(=何をどうしたら良いか)が見えづらくなります。

「RevPASHの極大化」という最終目的を念頭に、RevPASHを構成する要因ごとに分解して、各要因の改善が可能か、どうすれば良いか、具体的に解決策を考えていくことで、やるべきことが見えてくる筈です。
 
宴会を行うことのできる宴会場(=ハコ)は数が限られていて、通常1回3時間半程度は一顧客の貸し切りになる訳ですから、いかに効率よくハコを使って「一宴会場当たりの利益」を極大化するか、宴会に於いてもレベニューマネジメントの考え方は重要です。
レストランのRevPASHの考え方と異なるのは、①「座席数」ではなく、宴会場の「定員数」で考える、②「売り上げ」ではなく「利益」で考える、の2点です。

「定員」で考えるのは、宴会が貸し切りで行われる為で、100人の宴会ができる会場に30人の宴会を入れてしまっては効率が悪い、という当たり前のことが、座席数をつかってしまっては表せないからです。
また、「売り上げ」ではなく「利益」で考えるのは、宴会には「一般宴会」と「婚礼宴会」の両方が含まれており、「婚礼宴会」については貸衣装や生花、引き出物などの外注費用の割合が高い為、売り上げとしては膨らむものの、原価の割合が高く、利益率が低くなる為です。
婚礼宴会についてはこの他にも、①予約から当日までのリードタイムが非常に長い、②1名あたりの料理単価が高い、③春秋を中心に週末、大安の特定日に集中する、という特徴があります。

リードタイムが長い故、婚礼の予約が先に入っている分には問題ないのですが、総売上・客単価が高い為に、大安の週末については予約が確定していなくても、婚礼部門が宴会場をブロックして、一般宴会よりも優先しているホテルも多いようですが、果たしてこれは正しいのでしょうか…。

婚礼と一般宴会
婚礼と一般宴会

別紙の例を見ても、確かに婚礼宴会は料理単価、飲料単価が高いのですが、着席のフルコースになる為、収容人員は限られ、一方で質の高いサービスが求められるために、経験の少ない学生アルバイトなどは使えないことから、外注人件費なども割高となります。

これに対して同じ広さの宴会場でも、着席よりもかなり多くの出席が可能となる立食形式の宴会の場合、サービスマンは基本的に皿やコップを下げるだけですし、別途コンパニオンが手配されることも多く、人数の面でも能力面でも多くを求められることがないため、収益性はかなり高くなります。

無論収益性については一般論ではなく、個々・具体的に見るべきものですし、各々の施設の経営方針などにも関わることで、一概にどうこう言うことはできませんが、「宴会場は売り上げが大きい婚礼が優先」とか、「秋の大安は婚礼」などの固定観念にとらわれずに、「何が収益を上げる為に最善か」を、自分の頭で考えるホテルマンになることが大切です。

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