bar hotelを象徴するオーセンティックなバー「the bar」。箱根の雄大な自然の移ろいを楽しみながらお酒を味わえる。
我が国の宿泊産業の競争激化が進んでいる。競争が少なかった時代は、「万人ウケ」というやり方が正解だった。しかし、これだけ多くのホテルや宿泊施設が乱立し、お客さまのニーズが多様化しているいま、「万人ウケ」するホテルが新たに誕生しても、選ばれない。いまホテルのマーケティングに求められている戦略は、とんがりをつくること。とんがりで差別化し、そのとんがりに関心のあるお客さまが集まる。本連載は、そんなコンセプトが際立ったホテルや宿泊施設を厳選して紹介する。担当するのは、立教大学観光学部で宿泊ビジネスを学ぶ学生たち。学生のピュアな目に、日本のホテルはどう映り、どう表現されるのか——。
朝食は素朴ながらも上品なガレット。モーニングシャンパンと一緒に味わう
メインバーの壁面には千条の滝が描かれている
2018 年7 月、箱根・小涌谷に『barhotel 箱根香山』が誕生した。その名の通り、バーがメインのホテル。バーがホテルの付帯施設になっているのではなく、バーを中心に設計された施設である。エントランスを入ると、すぐにメインバーがある。全長13m のチーク材の一本板を使用したローカウンターが圧巻である。そのほか、スモーキングバー、バーカウンター付きのプライベート・スパなど、さまざまなバリエーションでバーを楽しむことができる。閉店時間や帰宅する面倒を気にせずバーを余すところなく楽しめるようになっている、「バー」をとことん突き詰めた新ホテルを取材した。