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アスコット(The Ascott Limited)が営業戦略を発表

各地でのM&A・リブランド展開で精力的に規模を拡大 2028年までに手数料収益を5億ドル(S$)目指す

2024年02月06日(火)
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 今年40周年を迎えるアスコットは、シンガポールで設立されたサービスアパートメント&ホテルを運営するグローバルリーディングカンパニーで施設の8割はアジア太平洋地区に展開している。2024年1月時点、世界40カ国、220都市以上に940施設・16万室以上を展開しているが、単なる宿泊施設の展開とどまらず、投資運用会社としての顔も備えることから、オーナーおよびオペレーター双方の立場から事業展開する稀有な存在としても位置付けられている。宿泊施設のオペレーターの8割はサードパーティ(第三者)であるという俯瞰した経営マインドを有する点も特徴との一つとされている。
 キャピタランド・インベストメント・リミテッド 宿泊部門チーフ・フィ ナンシャル&サステナビリティ・オフィサー兼ザ・アスコット・リミテッド マネージング・ディレクター日本&韓国担当のべ・シュー・キム(Beh Siew Kim)氏によると、「サービスアパートメントはコロナ禍でも稼働率50%を保つなど、キャッシュフローを確保しやすくオーナーにとって安定的な投資が行なえることが証明された。またアスコット自体は2004年にシタディーンを買収。その後は各国で知名度のある中長期滞在に適した施設のM&Aで、企業成長を遂げてきた。2028年までに手数料収益を現在の2倍、5億ドル(S$)を目指す」。日本では知名度の高かったオークウッドを22年に買収したことで、勢力を拡大。現在のブランド数は、日本で展開するアスコット、オークウッド、シタディーン、lyf、サマセットのほか、9ブランド(The Crest Collection(クレストコレクション)、The Unlimited Collection(アンリミテッドコレクション)、プレファレンス、QUEST(クエスト)、FOX(フォックス)、HARRIS(ハリス)、POP!(ポップ)、Vertu(ヴァーチュ)、YELLO(イエロー))を有す。

べ・シュー・キム(Beh Siew Kim)氏
べ・シュー・キム(Beh Siew Kim)氏
コー・チャット・イン(Koh Chiat Ying)氏
コー・チャット・イン(Koh Chiat Ying)氏
㈱アスコットジャパン代表取締役社長のクリスチャン・ボーダー氏
㈱アスコットジャパン代表取締役社長のクリスチャン・ボーダー氏

 また、シニアマーケティングマネージャー兼ブランド&マーケティングのコー・チャット・イン(Koh Chiat Ying)氏が、コロナ禍以降の宿泊市場は変容したと指摘。「例えばワーケーションに加え、出張時の滞在を延長してレジャーを楽しむブレジャーの需要が急速に伸びたのを受け、オークウッドの買収に至った」と、中長期滞在向け施設の安定力を改めて強調した。ほか、予約経緯が7割以上が直予約、その他が3割ということを踏まえ、ASR(会員)の拡大が今後のカギとなるとまとめた。
 同社は今後さらに施設数を拡大する見込みで、日本でも沖縄や白馬、北海道(札幌)などで検討案件があるという。㈱アスコットジャパン代表取締役社長のクリスチャン・ボーダー氏は、「日本には22施設展開。6割は長期滞在利用だが、売り上げ規模でみると短期滞在の方が勝る。企業の長期利用の安定を確保しながら、インバウンドを中心とした短期利用で収益性を望める点が、日本での拠点を増やす最大の理由」とし、日本ではよりバランスのよい収益構造が得られていることを明かした。
 

フルリノベーションで  東京・銀座エリアに「lyf」を誕生

左上より8種ある客室のうち「ワンオブアカインド(スタジオダブル)」(13㎡)、1階カフェのイートインでもある「コワーキングスペース」、右は外観
左上より8種ある客室のうち「ワンオブアカインド(スタジオダブル)」(13㎡)、1階カフェのイートインでもある「コワーキングスペース」、右は外観

 
 アスコットは、2023年11月30日に「lyf銀座東京」(8種・140室)をリブランドオープンしている。前身は、個室部分を有する簡易宿泊施設(3~6階は個室、7~10階はバスルーム共用のカプセルホテル)で、インバウンドをメインターゲットとして2019年に開業したが、コロナ禍で経営が難航。たちまち館に灯がともらなくなった。そこで同社が、前施設のホステル部分を個室に大改装し、パブリックスペースにフィットネス、キッチン、ランドリーなどを増設して、新しい施設に再生させた。
「lyf銀座東京」はリノベーション上の制約を見事に感じさせずに、新しい価値を創設することができた作品とも感じる。今後、既存の宿泊施設のリブランドを視野に入れながら日本での展開を拡大させたいグローバルチェーンにとっては、リブランド(=ブランドを塗り替えて新たな存在に)していく上での良き事例になったかもしれない。厳密には銀座一丁目と日本橋の間「京橋」に位置するが、館内・客室内に施された銀座の街並みを模したアートが、旅人を銀座に誘うコンテンツになり替わる様は、単に寝食を提供する箱ではない、街における宿泊施設が担うもう一つの価値を体現しているようにも見える。
 世界で26軒目、日本では福岡に続いて2軒目となる「lyf」。クリエイターや起業家などクリエイティブな活動に勤しむ人、時間や場所に縛られないノマドワーカーを選択している人、国内外問わず、lyfを拠点に日本や施設周辺エリアの探索を求める人が主なターゲット層という。「館内は東京メトロ銀座線のカラーでもあるオレンジをベースに、3組の日本人アーティストがlyfに集まる人たちの多様性を印象的なイラストで表現。銀座の特色を色濃く反映した刺激的な館内デザインは、訪れる人の高揚感を高めるはずです。キッチン、ランドリーなどのソーシャルスペースを完備したほか、ワークスペースでは非宿泊者も自由に利用できるので、さまざまな目的で訪れる人の要望にフレキシブルに対応できる空間として機能していきたいと思います」(lyf銀座東京・lyfチャンピオンの井上絵梨氏)。

「キッチン」には豊富な調理器具も完備
「キッチン」には豊富な調理器具も完備
「フィットネス」にはキックボクシングマシンも完備
「フィットネス」にはキックボクシングマシンも完備

   
   


lyf銀座東京
 https://www.discoverasr.com/ja/lyf/japan/lyf-ginza-tokyo
  @lyf.ginza:https://www.instagram.com/lyf.ginza/
所在地:〒104-0031 東京都中央区京橋2-5-4/客室:8種・計140室(12~25㎡)/メール:enquiry.ginza@the-ascott.com

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