「関係価値」を世界に発信することで日本の存在感を増していく時を迎えた
甲斐 ファンとともに、という志向はエンターテインメントの世界では、アーティストとファンが一緒になって舞台を創り上げる構図がすでに出来ています。コール・アンド・レスポンスを含め、その瞬間をみんなで創ることにおいて上下関係はありません。これからの会社はこのような関係性に基づいて動いていかなければならないのだと思います。
ホテルとファンが思い出を一緒に創り上げる関係性を結べれば、消費する価値を増大させることができると思いますがいかがでしょうか。
生沼 それは強く賛同します。私がよく「モノ(物)からコト(事)、コトからイギ(意義)だ」と言っているのは、なぜそのサービスを提供しているのかを私たち自身がしっかりと理解しておく必要があるからです。私たちはお客さまに何を体験してもらい、どのようなファンになっていただきたいのかという軸を持つべきです。手間と時間をかけてディテールにこだわりながらストーリーのあるプロセスのなかでそれを具体的な形にしていかなければなりません。
そのプロセスがあるからこそお客様の感性に訴えかけることができ、お客様からホテルに対して前向きな動機付けを生み、共にホテルを成長させるという共創を実現することが出来る。そこに我々の「意義」があり、それこそがファンの共感を呼び込むためのポイントだと思います。
甲斐 それは我々 IT業界にいる者にも刺さるポイントですね。この20年、ネット広告はこれまで出会うことのなかったお客さまを見つけ、検索ワードを通じてその人が欲しがっているものを提案すれば買ってもらえるという状況が続き、業績を伸ばしてきました。ところがそれを続けた結果、お客さまはすべてを手に入れてしまい消費意欲が終わりに近づくことになりました。IT業界もまた、あらためてファンとの関係を構築しなければならないのです。テクノロジーベースでビジネスを行っているイー・エージェンシーも人間関係や人との縁に立ち返り、そのサポートをするために ITを活用する形で事業展開していかなければならないと考えています。
生沼 加えてもう一つ、甲斐社長も同じようにお考えではないかと思うのですが、私はよく「関係価値」という言葉を使っています。自然環境学においては既にグローバルスタンダードとなっている言葉なのですが、実は日本の自然と人との共生文化にインスピレーションを受けて提唱された言葉だそうです。私はこの言葉と概念をビジネスの世界でも応用できると考え、共生から共創を生み出す関係価値の向上を重視しています。この先の日本の未来を見据え、日本から海外の人たちに関係価値のメッセージを伝え、不確実な今のグローバル社会において日本の存在感を増していくべきだと思っているのですが、いかがですか。
甲斐 同感ですね。そしてその関係価値も、日本独自の視点とセンスで生み出していくことが未来において唯一無二のニッポンの未来スタイルになると思います。
第二回の“ポリマスの言葉”
「私たちはなぜそのサービスを提供しているのかを理解しなければならない。何を体験してもらい、どのようなファンになっていただきたいのかという軸を持つべき」
―生沼 久氏―
「ホテルとファンが思い出を一緒に創り上げる関係性を結べれば、消費する価値を増大させることができる
―甲斐 真樹氏―
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