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ポリマスの言葉 〜宿泊業経験ゼロのとある社長がホテル経営の極意を手にいれてしまう件〜

ポリマスの言葉 〜宿泊業経験ゼロのとある社長がホテル経営の極意を手にいれてしまう件〜 2回

【月刊HOTERES 2023年12月号】
2024年01月22日(月)
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ファンになってくれた方々がこれから先も支持者となってくれる

甲斐 そうしたマニュアルに準じた外資系の組織運営がある中で、生沼総支配人はどうしてメズム東京の仕組みを他にはないものとしてアレンジしようと考えたのですか?

生沼 私は長年インターナショナルホテルチェーンで働いてきたため、自身が日本人であることをあらためて考えざるを得ない機会が多くありました。キャリアアップのためには彼らの思考や組織の枠組みに合わせることが求められるからです。

そうは言っても私が欧米人になれるわけではありませんから、彼らも認める日本人の強みを考える必要が出てきたのです。欧米のホテルチェーンが創り上げてきたものと同じことをやっていても絶対に敵いませんから、ホテルという西洋式の中に意図的にいかに少しだけ軸を変えて唯一無二の体験価値を創造できるかがポイントだと考えたのです。ニッポンブランドのホテルとして我々の強みは何なのか、日本では当たり前だけれども海外から見たら当たり前ではないこととは何かを追求し、その価値を具現化すれば十分にグローバルでも存在感を発揮することができると思った訳です。
 
甲斐 なるほど。これは ITというフィールドでも同じことが言えるかもしれません。

我々イー・エージェンシーは基本的に、テクノロジーを使ったマーケティングビジネスも根幹事業に持っています。BtoBでマーケティングの仕事を始めたとき、欧米的な従来のメディア一辺倒のマーケティングの時代は終わったと感じました。そこからどのような方向に進めばいいのかを考え、人間関係を創り上げていくこと、究極的にはその会社のファンづくりを目指すべきなのではないかという結論に至ったのです。それは生沼総支配人のおっしゃる、 “ニッポンの強み ”を探すということにつながると思います。

コロナ禍に入ると、従来型脱却の考え方は間違っていないことが明白になりました。閉店に追い込まれるお店と生き残るお店の間にどのような違いがあったのかを検証してみると、“人通り ”に頼って商売をしていたお店は苦しくなり、CRMに代表されるようなお客さまをファンとして捉え、ファンの皆さんに支えられた商売・施策を行なっていたお店はそれほど大きな影響を受けることなく、営業を続けられているように見えました。

生沼 ホテルにおいてもお客さまをファンとして捉えるという考え方は新鮮に思えました。

日本では、「お客さまは神さま」という考え方が一般的です。そうではなく、私たちはプロフェッショナルとしてサービスを提供しているのですから、我々の提供する体験価値に共感いただき、ファンになりたいと申し出てくれる方々には思う存分支持していただきたい。その意味ではお客さまと私達は、ある種対等の立場でなくてはならないと考えます。
 
ファンになっていただいた方々は私共の心強い応援団となって、その先もずっとホテルのみならずそこに働く人々を大切に思ってくださいます。ホテルビジネスとは一瞬で終わる世界ではなく、持続的に成熟に向かうビジネスモデルですから、ずっと応援してくださるファンづくりに注力するというのは理にかなっています。

 

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