ものの「価値」には、売買市場における需要と供給の関係からみた経済価値から、所有者にとっての収益価値、人や地域との関係に基づく社会的価値、顧客にとっての利用価値や心理的価値等があり、前提となる関係性によってさまざまな価値につながります。つまり、関係性をコーディネートすることで新たな価値を生むことができます。関係性から価値が生まれるというのは人の認知や意識も同じです。ミクロで見ると一つ一つの小さな神経細胞が相互に関係性を構築して、巨大なシステムとして働く結果なのです。
「システム思考」とは、さまざまな事象について個々の事象を深く考察し、相互の関係性に着目するとともに、人の「意識」が神経細胞の巨大なシステムから突如として現れるように、点と点が相互につながりそこで情報のやり取りがされる結果、全体として新たな価値を創発する「システム」の力を理解する視点と言えます。
サービス開発を想定する場合、まずは顧客の観察、ニーズの把握およびセグメンテーションから整理します。消費者行動を理解するためには、単に顧客の欲求を充足するだけではなく、人とのより深い絆や価値観の共感等心理的価値の側面からニーズをとらえる視点がますます重要となってきています。欲求を充足するための「点」としての消費行動から、その消費を行なおうとする経緯やどのような環境で消費をするのかという「時間軸と空間軸」を意識した顧客ニーズのセグメンテーションが求められます。また「システム思考」では、最終的なアクションの成果を強く求めます。強力で魅力的なコンテンツや顧客にとっての価値あるサービスとして実際に「具現化」することがゴールであり、それを実現するためには、顧客ニーズを丹念に、事実に基づいて客観的に整理することが求められるのです。そこで重要な概念が顧客ニーズに沿った「マーケットセグメンテーション」という視点となります。