店舗内観。グレートーンのシックなカラーで統一され、木目調のカウンターやテーブルがしつらえられている。カウンター席正面に飾られた盆栽は、盆栽プロデューサー・小島鉄平氏によるもの
オーストラリアのシドニーで行列が絶えない人気を誇る、丼とお茶の専門店「Juan Bowl &Tea Tokyo」が表参道にオープンした。
店舗名の“Juan”には、オーナーシェフの石黒杏奈氏がシドニーでの開業を思いたった際のストーリーが反映されている。当初、自身が寿司職人としてのキャリアも築いていた石黒氏は、寿司店の開業を目指しており、店舗名を「寿庵(=ジュアン)」と名付けようと決めていたそうだ。しかし、現地のみならず、日本でもリクルーティングを行なったが寿司職人を見つけることが難しく、断念。そこで、丼であればちらし寿司も提供でき、さらには肉メニューやベジタリアンのオプションも用意できると考え、美しくて美味しい丼の専門店として「Juan Bowl & Tea」をオープンしたそうだ。
瞬く間に人気店となった同店は、コロナ禍も現地のお客さまの支持が高く、現在に至るまで多くのお客さまから愛されている。
表参道への出店はそんな石黒氏にとって凱旋帰国であり、新たなステージへの挑戦だといえる。そこで「Juan Bowl &Tea Tokyo」では同ブランド初の試みとして、お味噌汁や数種の副菜と丼をセットにした“御膳”として料理を提供することにした。初動は4種の御膳でのスタートだが、今後、季節に合わせた丼など、新たな味わいも登場させていく予定だ。そして、これらの御膳にはシドニーの店舗同様に、特選の中国茶、台湾茶、オーストラリアのオーガニックティなどから石黒氏が厳選したマッチング・ティーが提案されている。これらのお茶は料理だけでなく、デザートメニューである抹茶ティラミスや黒胡麻わらび餅とも楽しむことができる。
オーナーシェフである石黒杏奈氏。歌や芝居、ラジオDJなどエンターテインメント業界で活躍後、料理の世界に挑戦すべく日本のホテルで経験を積み、渡豪。現地のレストランやカフェ、クロウズ・ネストの「華樹林」で研鑽を積み、2017年にシドニー・レッドファーンに「Juan Bowl &Tea」をオープン。東京での出店を皮切りに、世界での店舗展開を視野に入れている
ところで、今回の表参道出店は今後の世界展開を視野に入れての開業だという。
「多数の店舗を展開した際、すべての店舗で私が料理を提供することは不可能です。しかし、いずれの店舗も同じクオリティーの料理を提供すべく、“安定したクオリティーの料理を出すことを絶対にブレないコンセプト”として、今後の展開を広げていきたいと考えています。その1号店として、またアジア進出の礎ともすべく、今回の出店に挑戦しました」
と石黒氏。
シドニー店開業の折、“表参道にあるようなおしゃれな丼屋さんを目指そう”とイメージして店を作ったという石黒氏。今回、その地に誕生させた店舗で日本人はもちろんのこと、東京観光に来たインバウンドのお客さまをメインマーケットとして自身の料理を訴求していきたいという。世界での展開も含め、石黒氏の今後の動向に注目したい。
「Juan Bowl & Tea Tokyo」
https://www.instagram.com/juan.omotesando/
担当:毛利愼 ✉mohri@ohtapub.co.jp