店舗内観。新宿西口の駅前エリアにありながら、どこか“秘密基地”を彷彿させる、隠れ家感のある空間になっている
「ご当地酒場 北海道八雲町」、「カキ酒場 北海道厚岸」、「佐賀県三瀬村ふもと赤鶏」など、“ご当地酒場”のパイオニアとして外食アワードも受賞している㈱ファンファンクションの合掌智宏氏が、久々に“アンテナショップ飲食店”を新宿で手掛けた。佐賀市をテーマに、佐賀市三瀬村の“みつせ鶏”を中心にメニュー展開をした、“佐賀グルメ”を提供する「サガノサカバ」だ。
今回、久しぶりの取り組みになったということで、その背景について合掌氏に伺ったところ、
「もともと“みつせ鶏”を使った店舗は展開しており、おかげさまでご好評をいただいております。その中で、嬉しい悲鳴ではあるのですが、常連のお客さまから“予約が取れない”、“いつも満席で店に入れない”というお声が増しておりまして。そこで、そういった既存のお客さまに改めて、“みつせ鶏”をはじめとした佐賀の食材の美味しさを味わっていただけ、さらに新規のお客さまにも来ていただける店を作ろうということになりました。ただ、既に居酒屋業態の店舗はいくつも展開しておりましたし、場所柄、チェーン店や大衆居酒屋の多いエリアでもありますので、今回は少し落ち着いた雰囲気で、デートや女子会、会社の人や友人との飲み会にも使っていただけるような、“カジュアルだけど気の利いた食事やお酒を楽しめる店”をコンセプトに店を作りました」
との回答が返ってきた。
ホスピタリティ豊かなスタッフの存在も同店の魅力だ。みな明るく、またトークも楽しく、一見のお客さまでもアットホームな雰囲気の中で食事を楽しむことができる。写真左から時計回りにニックネームは、スガケン、ゆうし、なべちゃん、ゆーすけ、明穂、ゆきの(※敬称略)
合掌氏の店を訪れたことのあるお客さまなら納得してもらえると思うが、「サガノサカバ」も何を食べてもうまい。それもメイン食材である“みつせ鶏”の料理だけでなく、先付やサワークリームと共に焼きで提供されるたまねぎや春菊、白菜の生ナムルなどの野菜料理も抜群に美味しいのだ。さらに今回の店舗では佐賀で作られているクラフトジンにも注目だ。ジンの奥深さを感じる、さまざまな味わいのジンが揃えられている上に、食中酒としてのジンがこんなにも料理を引き立てるのかと思う味わいを体験することができる。もちろん、鍋島などの佐賀の日本酒も夏酒など、“アンテナショップ飲食店”だからこそのラインナップがあり、楽しい。
合掌氏が先述したように、“カジュアルだけど気の利いた”という飲食店はあるようで、なかなかない。さらには、これらの条件を適える実装が外食産業において意外と難しいレンジであるにも関わらず、もっとも需要がある市場であるという悩ましいジレンマもある。同店は、そんな“塩梅が難しい”ジャンルの店をバランスよく作る合掌氏のセンス、そしてそのコンセプトを実際の空間としてお客さまに提供しうるスタッフを有せる同社の底力を感じる店舗だ。同店の展開、そして同社および合掌氏の今後の展開がますます楽しみだ。
「サガノサカバ」
https://www.instagram.com/saganosakaba/
担当:毛利愼 ✉mohri@ohtapub.co.jp