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2020年12月11日号 トップインタビュー 株式会社近鉄・都ホテルズ ウェスティン都ホテル京都 総支配人 北村 恵司 氏

トップインタビュー 株式会社近鉄・都ホテルズ ウェスティン都ホテル京都 総支配人 北村 恵司 氏

【月刊HOTERES 2020年12月号】
2020年12月09日(水)
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ホテルを支えるつながりと教育

---あらためて創業130 年と周年の取り組みについてお聞かせください。

私はホテルにおける周年は、お客さまとの距離をぐっと近づける機会だと捉えています。もちろん商業性の高い側面もあり、130 年を記念したプランの販売や市内観光などのオプション設定、13 万円のおせちの販売なども行なっています。が、本質的なことはそれらの商品造成によって収益を上げることではなく、周年をキーワードとしたプロモーションによって私たちのホテルが何をしているかを知っていただき、その中で地域と連携していくことにあります。たとえば今回の周年ロゴは、京都芸術大学の学生にコンペを行なっていただき決定しました。実は10 年前、創業120 年のロゴ作成に当たっても同様、同大学(当時の名称は京都造形芸術大学)の学生にご協力いただきました。ホテルを利用しない若者が増える中で、コンペを通じて私たちのホテルの存在を知ってもらい、身近に感じていただくことを大切にしています。将来顧客という考え方もありますが、それはあくまで理想。欲のないことを言えば、私たちのホテルに関心を持っていただけるだけでも、非常によろこばしく感じるのです。

---リニューアル後はプライスポジションを上げつつ、顧客満足を獲得してゆくことと思いますが、そのための取り組みについては。

顧客の獲得にもつながることですが、スタッフ教育によるサービスレベルの底上げ、この一言につきます。マリオットのトレーニングプログラムを利用しスタンダードを徹底しつつ、休業期間も大いに活用しながら「京都の老舗ホテルとして私たちに求められるもの、私たちが提供すべきもの」を部門ごとに本気で考え抜いてもらいました。また私や管理職の立場では、スタッフのモチベーションを下げないよう、いかに仕事に楽しく取り組めるかといった部分にも気を配りました。結果、トレーニング前と比較してサービスクオリティに対するお客さまからの高評価が継続しており、スタッフの努力が証明されています。

 

回復傾向が伺える京都の市場 意識すべき小さな積み重ね

---現在の京都、そして御社の直近の状況や傾向について伺えますか。

新型コロナウイルスの影響によって底冷えしていた京都のマーケットですが、宿泊はラグジュアリーやフルサービス型ホテルにおいて、稼働が少しずつ上がってきているといろいろな所で耳にします。

さまざまな意見や考え方があるでしょうが、もともと京都で宿泊を伴うお客さまは、関東圏の方が5 割以上とも言われておりましたので、10 月のGo To トラベルの東京解禁は、特に影響が大きかったのではないでしょうか。また、インバウンドの回復が不透明な中、リードタイムの直近化が顕著であると感じており、来年以降、売り上げをどのように確保していくかが、各ホテルが直面する大きな課題となるであろうとも感じています。

婚礼・一般宴会については、未だ開催に慎重な印象が強く、これは、全国的にも同じことが言えると思います。ただ当ホテルでは婚礼、一般宴会ともに規模を縮小しながら安心、安全に配慮した形で実施できていますので、それをWith コロナ時代の実績として積み重ねていき、少しずつ増加する問い合わせに対応していきたいと考えております。

 

---最後に今後の方針や取り組み、抱負などをお聞かせください。

 コロナ禍で新しくスタートしたサービスの中に、お弁当のテイクアウト販売があります。4 月の販売開始から、おかげさまで少しずつ認知が進んでいますし、最近では地元の会合や商工会の集まりなどでご注文いただくなど、ニーズも広がっています。宴会部門においてはリモート講演のシステム構築により、製薬メーカーを中心として高い評価をいただいております。ホテルの販促では国内外のエージェントに対し、実際現地へ来れない状況下、リアルタイムで撮影した動画による情報発信を行なっていたりもします。現状では渡航制限があるなど、すぐには効果が表れないかもしれませんが、それでもホテルに対する関心を持っていただけるよう、将来的な需要創造につながる活動を怠ってはならないという考えです。いずれも大きな売上や直近の成果となるものではありませんが、ホテルとしての歩みを止めず小さな取り組みを重ねていくこと、これがこのきびしい状況においてホテルにとっても、従業員にとっても大切だと考えています。

 そしてホテル全体としてはリニューアルした装いの中で、伝統と風格を兼ね備えたホテルとしての誇りと、上品な中でも凛とした佇まいを持ち、訪れる人に寄り添うサービスクオリティを以って、お客さまの期待を超える滞在を演出してまいります。「京都において老舗ホテルとしての立ち位置を明確にしていく」という決意を今一度固め、責務を全うしていきたいと思います。

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