2015 年6 月1 日より、「特別安全衛生計画策定の義務化」が制定された。俗に言う「ブラック企業」を厚生労働省が認定するとその企業は事業が継続できなくなるもの。と同時に、ブラックではない証しとして「優良企業」というお墨付きの認定を受けることで、企業としての差別化を図るとしている。500 法人2000 事業場以上の労務管理支援実績のある、一般社団法人クオリティ・オブ・ライフ創造支援研究所森田 司理事長が、ホテル、レストランといったサービス業を中心に、数々の事例を含めつつ、「優良企業を目指すことで経営改善につなげていく」考え方、手法などを伝えていく。
今月は「過重労働による労働災害」の防止について解説いたします。まず、過重労働の防止を推進するための代表的な施策は? と問われると①時間外労働時間の削減、②年次有給休暇取得の推進、③休憩時間取得の促進、④健康づくりの促進、⑤個の能力開発の促進、⑥チーム力向上の促進、の六つのキーワードが挙げられます。私はこれに<従業員の生き方・働き方の意識変革の推進>と<管理監督者の管理・育成・指導の能力開発>を加えて、具体的な対策を推進しています。
これらのキーワードをご覧いただくと一目瞭然ですが、過重労働防止対策は安全衛生委員会がその活動という範囲で推進の成果をもたらすことは極めて困難です。企業全体で改善すべき優先順位の高い経営課題としてとらえ、全社員一丸となって推進をする必要があります。ところが、経営幹部が参加するような過重労働防止対策研修等の機会を設けている企業は少ないのが現状です。従って、経営幹部は部門責任者に「残業を削減させろ!」という指示を出すしかないのかも知れません。過重労働防止対策は部門責任者の号令程度では成果は出ません。経営者自らの言葉と声により、全従業員に指示命令することから始めるべきなのです。そのためにも経営幹部対象の過重労働防止対策に関する勉強会の開催と経営者が『過重労働対策推進宣言』を作成し、プレゼンテーションすることをご検討ください。今から準備をすれば、新年度のスタートには間に合いますよね。3 月から施行される若者雇用促進法における情報の開示義務において、労働時間や休暇等に関する項目もありますので、それも視野に入れた取り組みが求められるとご理解ください。