はじめに
十六名の食のエキスパートと対談をした前回に続く第二段として、新しい視野の元、敬愛する方々との対談を行なっていく本連載。第7 回の今回は建築家であり㈱佐藤総合計画 代表取締役社長の細田雅春氏にご登場頂いた。
食と建築に共通するもの
中村 細田先生には日頃大変お忙しい中を本日はわざわざ時間をお作りいただき誠にありがとうございました。さっそく始めさせていただきますが、はじめに、細田先生が建築の世界に入られたきっかけをぜひお聞きかせください。
細田 私は高校生の時は建築をやる意思は全くありませんでした。物理をやろうと思って、国立大学の物理を受けたのですが、落ちてしまい、迷ったときにある人から、建築家の先生がいるところをいくつか紹介していただき、その人の推薦で建築を学ぶことにしました。だから、本来、私は建築にあまり興味はなかったし、関心もなかったんです。ですから、大学入学後1、2 年はまったく勉強をしませんでした。しかし3 年になると、周りの同級生が専門知識をたくさん身につけたことに焦りを感じ、一気に勉強を始めました。そこでようやく建築の面白さを少しずつ感じ始めたという感じです。ですから、非常に遅いスタートだと感じています。ほかの人たちの話しを聞くと、中学生のころから建築を志望するという人が多くいましたからね。
中村 それはそれは、それで先生が建築に目覚められ、おもしろいと思うようになられたいつの頃からでしょうか。
細田 大学3 年の時に、ある先生との出会いがありました。それからいろいろな海外の本などを読むようになり、「これは非常に面白い」、「奥が深いな」というようなことを感じ、建築にぐっと一気にのめり込んでいきました。