変わっていった銀行の評価
片野は、自分の夢を、いや野望を実現させるために、2011年にRホテルズ インターナショナルを興した。自分の理想とするサービスでお客さまをもてなし、なおかつ利益を上げられるホテルをつくりたかったのだ。社名のRには、リライアンス、リユース、リターン、リラクゼーションと、さまざまな意味を込めた。
後ろ盾は何もなかった。
自分でホテルを運営したら、絶対に潰さない――根拠はこの自信と独自の理論だけだった。
だから最初は、銀行から融資を受けられなかった。「片野って、何者?」、「Rホテルズって、どこの会社?」などと言われ、全く相手にされなかった。仕方なく、ノンバンクから資金を調達した。
2軒目のホテルを購入するときも同じ反応しか示してくれなかった。北九州市のホテルを買収するときは、毎月片野が赴いて状況説明をすることを条件に、初めて融資を受けることができた。2年間、その銀行に通った。
ところが、である。片野が運営し始め、しばらくすると、銀行は手の平を返したように態度を変えた。
「片野さん、この1年で、見事にあなたの言ったようになっていますね。
でも、最初は疑いましたよ。あなたが言ったような業績が上がると、どこも黒字になってしまう。そんなわけないだろうと思ったんですよ」
「次はどこですか。案件が2件あるんですか。片野さんのお好きな方で融資いたしますよ」
買収したホテルは、右肩上がりの実績を示すようになっていった。
片野はなぜ、成功を収めることができたのか。その秘密はどこにあるのか。
ホテル運営に確信を得たその時代に、時計の針を戻すことにしよう。(次回に続く)
- Rホテルズインターナショナル
- 片野 真治 プロフィール