おくしり店舗外観・住宅街にある店舗だが全国にファンがいる
Case Study 3
都議会には飲食店経営にも
“多様性強調路線”を実施してほしい!!
やきとり おくしり
(東京都飲食業生活衛生同業組合会員店舗)
東京スカイツリーからタクシーで10分。「やきとり おくしり」は住宅街に位置し、普段は常連客でにぎわう地元密着店だが、夏場は店主坪谷氏の実家から直送される奥尻のウニを目当てに全国からウニファンが訪れる知る人ぞ知る人気店だ。この地で店を構えて37 年、向島料理飲食業組合長も務め、地元の飲食店からの信頼も厚い。行政の取り組みにも率先して協力し、喫煙ルールステッカーの店頭表示もほかの店に先駆けて始め、ステッカー提示の啓蒙にも努めてきた。そんな坪谷氏も今回の東京都の受動喫煙防止条例案には異議を唱える。「当店では夜の7 ~ 9 時の間だけ禁煙にして、ほかの時間は喫煙可能という分煙にしています。夜はお子さん連れのお客さまも多いのでそうしているのですが、たばこを吸うお客さまでそのことにクレームをつけられる方はいません。むしろその間は待っていてくださる。そのかわり、9 時になると全席から『灰皿ちょうだい!』という声がかかりますが( 笑)、お子さん連れのお客さまはそれを合図に帰られる。常連さんが多いということもありますが、店側が何か言わなくても自ずとお客さま同士でマナーを守ってくださるんです。ランチタイムに関してはたばこを吸いながらランチが食べられる店ということでそれを目的に来店される方が大勢いる。中には区役所の職員の方もいらっしゃいます。墨田区は路上喫煙が禁止ですから、たばこを吸いたい方にとってランチタイムに『たばこが吸える店』も必要なのではないでしょうか? そういったことも含め、お客さまに選択権のある飲食店に関しては喫煙の可否は条例規制するのではなく、各店舗の自主規制にしていただきたいと思います」。ちなみに本誌既報の他区の飲食店同様に墨田区でも都議会からの視察もヒアリングもいまだない中で条例案が作られているという。「私どもだけでなく、組合に加盟する130 強の店舗のほとんどが現在、喫煙可で経営していますし、それも含めてお客さまが足を運んでくださっています。正直、喫煙室の設置が経営負担となる店舗がほとんどというのが実情です。都議会には机上で条例案を作るのではなく、ちゃんと現場を、現実を見ていただきたいです」。さらに坪谷氏は「世の中、いろんな人がいていいのではないでしょうか? それこそ小池都知事ご自身が『ダイバーシティ強調路線』を明言されている。それなのになぜ喫煙に関してだけ“偏った”価値観で規制されようとするのか? ちょっと横暴が過ぎるというか、個人の権利を侵害しすぎな感じがします。公共施設については分かりますが、飲食店に関してはそれぞれの店舗の“多様性”を尊重していただきたいと思います」と語った。