居留地外観。看板に描かれるWILD TURKEYにもウエスタンを愛する気持ちが伝わる
Case Study 1
行政、店舗、お客さま、
皆の“寛容さ”で成熟した分煙社会を
居留地
(東京都飲食業生活衛生同業組合会員店舗)
居留地内観。換気の流れがよいためか? ほとんどたばこの臭いはしない
新宿三丁目ほど近く、ウェスタン音楽と乗馬の愛好者たちに愛される店「居留地」がある。この地で40年、2 代目店主高木氏に代替わりしてから14 年、週末はライブも行なわれるレストランバーだ。基本的には常連客が多いが、場所柄フリーのお客さまも少なくなく、昨今はインバウンドの影響もあってか欧米や韓国など外国人のお客さまも増えたという。そんな高木氏に店舗での喫煙状況を聞いてみた。「まず8 割強のお客さまがたばこを吸われますね。最近は男性よりも女性の方の方が吸われている印象を受けます。また外国人のお客さまもよく吸われます。こちらは9 割ぐらい吸われているのではないでしょうか? 欧米の方はたばこを吸われないイメージがありがちですが、みなさんよくおいしそうに吸われています( 笑)。アジア系の方と同じくらい吸われていますよ」。中にはたばこを吸わないお客さまもいるがそういった場合はお店側からお客さまの席交換をお願いしたり、換気の流れで煙がかからない席を配席するなど、快適に過ごしていただく配慮をしているという。さらに喫煙店舗での就業について従業員はどう思っているのだろうか? 「もちろん最初にこういう環境であることは説明します。その上でたばこを吸う人も吸わない人も納得して働いている。今までそのことで問題になったことはありません」。高木氏はこうも言う。「現在、私ども組合では東京都の受動喫煙防止条例案に対する反対署名を集めており、これに対してお客さまも皆さま協力的です。特にたばこを吸わないお客さまたちが積極的に署名してくださる。これは皆さん、もう少し“寛容さ”が大事だと考えられているということなのではないかと思います。息抜きをしたい方もいるし、音楽とお酒と共にたばこを楽しみたい方もいる。おのおののプライベートな時間まで行政規則で縛られなければいけないというのはやりすぎではないでしょうか? 現在私どもの新宿支部には70 店舗が加盟していますがほとんどが個店で皆喫煙可の店舗です。分煙整備に補助金が出るといっても全額ではないし、面積の問題で難しいお店がほとんど。皆さん、経営存続の危機と不安を感じてらっしゃる。お客さまに店を選ぶ自由があるわけですから、飲食店の喫煙の可否については自主判断に任せていただきたい。そういう寛容さを行政も持ってくれれば自ずと成熟した分煙社会ができていくと思いますし、既にお客さまたちはマナーがよく、思いやりによる分煙環境は自然発生的に生まれていると思います。この上、行政によって縛る必要はないのではないでしょうか?」。