菊水外観。親子2 代で通う常連客も多い地元に愛される店だ
Case Study 2
行政にはもっと“現実”に
目を向けた施策にしてもらいたい!!
菊 水
(東京都飲食業生活衛生同業組合組合員店舗)
隣合うことも楽しみの一つとなるテーブル配置も常連客が多い菊水では魅力の一つだ。この空間をあえて分煙する意味はどこに?
東雲の地で65 年。「菊水」は地元の常連客に愛されてきている地域密着型の居酒屋だ。街の様子が変わり、近隣企業が変わってもお客さまがお客さまを連れてくることには変わりなく、今でもほとんどのお客さまが常連客であり、そのほとんどが喫煙者だという。店主の玉井氏に今回の都民ファーストが議案として出そうとしている受動喫煙防止条例案について聞いてみた。「今回の条例案が可決され、実施されてしまったら『困る』の一言に尽きます。私どもの店では基本、お子様連れはお断りしていますし、喫煙可能のシールも提示している。ですからたばこを吸われないお客さまはうちに来ない。皆がそれぞれのニーズに合わせた選択をしているのでトラブルもありません。この何がいけないのか? これでいいのではないでしょうか? 従業員に関しても皆、喫煙店舗であることを納得して就業していますし、休憩時間にたばこの一服で疲れを癒やすスタッフもいる。そういった従業員のリラクゼーションタイムも店舗運営を円滑にする上では必要です。このようにお客さまも従業員も店側も誰も禁煙であることを望んでいない店舗まで一方的な規制で禁煙を強制されなければいけないものでしょうか? ちなみに屋内を禁煙にして、外で吸えばいいとおっしゃる先生もいらっしゃいますが江東区は路上喫煙が禁止ですし、昨今は路上喫煙を目撃した方が警察に通報することも少なくありません。店でも吸えない、外でも吸えないではお客さまが来なくなってしまう。私は深川の料理飲食業生活衛生同業組合の組合長もしているのですが、組合に加盟されている店舗のほとんどが喫煙可能な店舗で、お客さまたちもたばこを吸われる方が多い。今回、署名を集める中で店舗関係者はもちろんですがお客さまも皆さん、前向きに協力してくださる。多くの方たちが“現場“を全く無視した形で整備が進められている条例案や東京都の姿勢に大きな不満を感じています。また廃業の危機に対する不安も大きい。実際問題、店内に喫煙室を作る余裕がなかったり、作るとしたら店内の全面改装を強いられる店舗も多く、資金負担の問題から喫煙室設置が難しい店舗も少なくありません。そういったことも含めて今まで東京都議会の方々からヒアリングがあったことも現場の視察があったこともない。そのような状況下でなぜ私たちが長年守ってきた店が“存続の危機”にさらされなければいけないのか納得がいきません。法整備をするのであれば、そして名実共に『都民ファースト』なのであればちゃんと現場を見て、話を聞いて、現実的なものにしていただきたいと考えています」。