㈱三越伊勢丹プロパティ・デザイン 環境創造事業部 建装営業部 部長 福島 耕志
髙島屋スペースクリエイツ㈱ アコモデーション営業部 特命担当部長 萩原 一功
協力:一般社団法人都市防災不燃化協会
1.内装材の防火性能への経緯
建築物の火災安全性は、建築基準法にあるように生命と財産を守ることに始まります。また健康を守ることも明記されています。昭和25 年の建築基準法に都市建築の不燃化の促進が法律に盛り込まれる前年に、法隆寺金堂火災が発生し日本最古の壁画が焼損しました。
昭和26 年には官庁営繕法により防耐火庁舎の構造等で義務づけられ、このころから急激に建物はコンクリートと鉄が主流になり、都市での災害の対策がなされました。内装制限も随時追加をされ、難燃化を図る方法での難燃薬剤の開発も進められました。
昭和40 年代には水上温泉菊富士ホテル火災や千日前ビル火災など重大火災が頻発してビル火災における内装材からなどの発煙がクローズアップされました。これらを背景に建築基準法上内装制限の耐火性能の評価基準として昭和45 年に不燃材料、昭和51 年に準不燃・難燃材料が使われるようになります。また消防法では防火性能の基準をみたした防炎物品としてカーテンなどがあります。平成2年の長崎屋尼崎店火災ではインテリア売り場のカーテンが炎上して、有毒ガスを含む濃煙が発生して多くの死者を出しました。
内装制限、消防法ともに内装材としての役割は火災時に火が広がる前に避難ができることが重視されています。
一方で、木のくに日本としての木材の活用も再度見直しがあり、平成22 年に「公共建築物等における木材の利用の促進に関する法律」が公布されて木材活用の関心も急速に高まり、内装木質化も重要になってきています。
室内で木をより多く使用するための規制緩和措置などが平成12 年から随時出てきております。
とはいえ木材の火災は大きな被害をもたらします。
平成28 年の糸魚川の火災は記憶に新しく、これだけ法整備や消防体制が進んでも防ぎきれない考えさせられる事例となりました(図1)。
観光施設メディアラボ 公益社団法人国際観光施設協会編
第22回 「内装材の防火性能」の経緯と今後
【月刊HOTERES 2017年02月号】
2017年02月24日(金)