人々の中に沖縄の想起率を上げることもオリオンビールが取り組むべき貢献方法
太田 東京で開催されたオリオンビールのイベントを通じて、「実際に沖縄に行ってみたい」と感じる人も多かったのではないでしょうか。
村野 沖縄の想起率を上げることも、私たちが取り組むべき貢献方法だと考えています。沖縄に来る前の1週間と帰った後の 2 週間から 1 カ月は、沖縄を想起していただくことで皆さまをハッピーにできると思います。しかしその後は日常に埋もれて沖縄が忘れられてしまうので、なんとかして引き続き想起していただけるようにしていきたいのです。沖縄を想起した瞬間に人々はオリオンビールを手に取るでしょうし、次回の旅行先も再び沖縄になるでしょう。
太田 オリオングループ全体として、今後の事業展開をどのように構想していますか。
村野 私は沖縄の観光が抱える問題として、オンシーズンとオフシーズンの閑繁差があると見ています。これまで高級なホテルはオンシーズンの需要をターゲットに、海に近い立地で展開されてきました。一方で 2025 年夏にテーマパークが開業する沖縄北部、やんばるの森は、もともと過疎地と言われるエリアです。そこに年間 30万人の観光客を呼び込むことで、オフシーズンとされてきた時期も人々で賑わう環境を生み出そうとしているのです。オリオンビールはその土地をお貸しして、社外取締役も務めています。
テーマパークとの関わりを通じてオリオングループは観光ビジネスを発展させることで、沖縄に対する貢献度を高めたいと思っています。テーマパークによって沖縄がさらに有名になり、好感度が高まれば、その分だけオリオンビールが飲まれる機会は増えるでしょう。そこからまた沖縄観光が上手くまわっていく事業につなげていきたいのです。
従来はお酒を売らなければ、ホテルにお客さまを呼ばなければなど個別のプレーに留まっていたやり方を変えて、グループ企業同士によるシナジーによって沖縄とともに成長していきます。これからも夢を語り、ビジョンを示しながら、現実的なコミットメントを果たし続ける現場づくりを推進していこうと思います。
オリオンビール㈱
代表取締役社長 兼 執行役員社長CEO
村野 一氏
1962 年生まれ。85 年ソニー㈱入社。91 年ユーゴスラビア駐在員事務所代表、2003 年ソニーメキシコ社長、09 年ソニーグローバルセールス&マーケティングトランスフォーメーション部門部門長を歴任。12 年リコーイメージング㈱入社、チーフセールス&マーケティングオフィサーを務める。15 年ディアゴスティーニ・ジャパン代表取締役社長兼アジア統括に就任。18 年シック・ジャパン代表取締役社長に就任。21 年 12 月オリオンビール㈱代表取締役社長 兼 執行役員社長 CEO に就任。現在に至る。