地元との取り組みを進められるのは積み重ねた信頼関係がベースにあるから
太田 この先のホテル事業について、どのようなビジョンを描いていますか。
村野 まずはリニューアルした 2 軒のホテルのレベルアップが重要です。ハードウェアについてはフェーズ 1が完了しましたが、これからソフトウェア、ヒューマンウェアのサービスレベルを上げていく必要があります。私たちはオリオンビールをオリオンホテルの大きな魅力として打ち出すために、名護工場から最短距離で出来立てのビールを運ぶ方法、ホテルでの保管と注ぎ方、提供の仕方までを考案し、少なくとも沖縄では最高レベルのビールを飲んでいただける環境を整えました。
さらにオリオンホテル 那覇に「エノテカ」の沖縄第1号店を誘致し、その店で購入したワインをホテルのレストランに持ち込めるようにしました。これによって約400 種類のワインを楽しめるレストランを生み出したのです。ビールとともに、ワインについても沖縄ではどこにも負けないラインアップを取り揃えられたと思います。
飲料と料理のペアリングを楽しんでいただくために、沖縄の県産品にこだわった食材選びもしています。オリオンビールの製造時に出る麦芽粕を餌に使って育てられた沖縄のブランド牛「もとぶ牛」や高級魚「琉大ミーバイ」、久米島で海洋深層水を使って陸上養殖された、厳しい細菌検査をクリアした牡蠣をフレッシュオイスターとして提供しています。
こうした地元との取り組みを進められるのも、オリオンビールが長年にわたり沖縄の人々、行政、企業と深く関わってきたからです。これまで積み重ねてきた信頼関係がベースにあるからこそ、沖縄の県産素材を観光客においしく提供したいという私たちの思いが伝わり、皆さまに協力していただけるのだと思います。
単なる沖縄料理ではなく、もとぶ牛や琉大ミーバイ、フレッシュオイスターといった “尖った食材” を一流のシェフの腕とサービススタッフの力で飲料とともに提供していくのです。
もう 1 つ大切なのは空気感です。オリオンホテル モトブ リゾート&スパ内の「THE ORION BEER BAR」からは海やサンセットを臨むことができ、テラスに出ると地元の香りと風が感じられます。沖縄の癒しの空間の中で飲むオリオンビールはモノとしてではなく、コトとしてお客さまの心に残ると信じています。