夢を語り、ビジョンを示しながら現実のコミットメントを果たす現場を創る
「沖縄から、人を、場を、世界を、笑顔に。」をミッションに掲げるオリオンビール㈱は 1957 年の創業以来、地元に根付いた企業として沖縄とともに成長する道のりを歩んできた。2023 年度はグループ全体で、観光・ホテル事業を軸にオリオンビールブランドをさらに輝かせる取り組みにチャレンジ。その結果として、沖縄の発展に貢献する方向性を追求した。リニューアルオープンしたグループホテルの「オリオンホテル 那覇」「オリオンホテル モトブ リゾート&スパ」ではビアダイニングやビアバーを新設。「最高においしいオリオンビールが飲める」という他にはない魅力と体験を提供している。沖縄の明るい未来を描くことを希求するオリオンビール代表取締役社長 兼 執行役員社長 CEOの村野一氏と㈱オータパブリケイションズ代表取締役社長の太田進の対談を通じて、沖縄の魅力を世界に向けて発信する企業グループのあり方を紐解く。
改装で沖縄とオリオンビールの魅力を伝えるためのハードウェアを備えられた
太田 オリオンホテルのリニューアルに際して、どのような思いを抱きましたか。
村野 オリオンビールと沖縄はほぼ一体であると私は感じていました。おきぎん経済研究所の「沖縄観光における県産酒類の需要に関する調査」によると、沖縄を訪れた観光客のオリオンビールの認知度は 96.9%、満足度は 93.9%となりました。オリオンビールが沖縄とイコールであると認識され、評価いただいた結果だと考えています。
オリオンビールは 2024 年 5 月 18 日、創業 68 年目に入りました。創業当時は亜熱帯で水の確保も難しい名護の地でビール事業を始めることに対して、周りからは「創業した瞬間に廃業だ」と揶揄されたそうです。それでも創業から 2 年間苦労しながら事業を創り上げ、その結果が今日につながっているのです。
背景にあるのは、オリオンビールが若者に対して安定した就業の場所を設け「沖縄の発展に寄与したい」という思いから創業された企業であることです。その思いが結実してビール事業がここまで大きくなった今、考えなければならないのは、さらに質の高い事業展開につながるオリオンビールを提供する場についてです。
モノをお届けするだけでなく、ホテル・レストラン事業を展開することで体験というコトを提供するスタイルが求められるのです。以前の各ホテルでは、その要素を伝えるには物足りなかったので、今回のリニューアルではその要素の強化が大きなテーマとなりました。
今回の改装によって、沖縄とオリオンビールの魅力を存分に伝えるためのハードウェアを備えることができたと自負しています。オリオンビールには沖縄を有名にして、その魅力の向上に貢献する使命があり、オリオンビールの魅力を伝える場としての道筋を辿るために、オリオンビールが展開するホテルとしての立ち居振る舞いをしっかりと創り上げていこうと考えています。
太田 オリオンホテルがフラッグシップとして持続的に沖縄に貢献していくためには、人材確保の問題が大きいと思います。
村野 オリオングループは「沖縄から、人を、場を、世界を、笑顔に。」をミッションに掲げています。私が着任してから「沖縄から」という言葉を加え、オリオングループしか宣言できない独自のメッセージとして成立させました。
このミッションを達成するために「笑顔はまず自分から」という言葉によって、オリオングループで働く人たちとのエンゲージメントの構築を図っています。具体的な取り組みとしては、働くモチベーションの高低に関してスコアを取り、そのスコアを向上させる活動にグループ全体で臨んでいます。
2023 年度に管理職の KPI に「エンゲージメントスコアの向上」を加え、2024 年度からは全社員を対象に所属するチームのスコアを競争させる形を採用しました。スコアが高いチーム、前年度に比べて素晴らしくスコアを上げたチームを表彰する仕組みも創っています。
オリオンホテルについても同様に、お客さまからの評価を引き続き見ていくのはもちろんのこと、従業員の気持ちを定量化し、スコア向上をチームメンバー全員の目標に据えています。