認識と来訪者を変える、歌舞伎町で生きるドラマ
歌舞伎町ではゴジラがお出迎えしてくれる
確かにこの歌舞伎町界隈は華やかで活気があり、決して眠らない街だ。ある夜、歌舞伎町タワーでゴジラが見守る中、韓国のボーイズバンドが広場で満員の観客を前にパフォーマンスを披露し、その夜遅くにはDJが地元住民や観光客を楽しませていた。
彼らの音楽ミックスがよほど良かったのだろう、スーツをビシッと着こなした初老の日本人紳士がステージに飛び乗り、なかなかのヒップホップダンスを披露した。私は、その男性がDJによって(丁寧に)ステージから降ろされるのを同情しながら見ていたのだが、彼はショッピングモールの中でもダンスを披露し続けた。年齢を重ねたたくましさと強靭さが、「モールのど真ん中で踊り出すなんて自分のような若者には恥ずかしくてできない」という感情と対立する瞬間だった―彼はまるで自分の祖父のような歳なのに、どうしてあんなに目立つ事ができるのだろう?
私がこのホテルを訪れたのは1年前だが、当時と今回の訪問でホテル内や周辺エリアで感じた最大の違いは、フィリピン人、タイ人、インドネシア人など、東南アジアのアクセントが沢山耳に入ってきたことだった。
WiT Japan & North Asiaで講演したTraveloka(トラベロカ)のシーザー・インドラ社長(Caesar Indra)は、インドネシア人は最近、シンガポールよりも日本への旅行を好むと話した。円安のおかげで、通常は日本を高価な旅行先と考える東南アジアの人々にとって、日本旅行は非常に手頃な価格になっているからだ。
円安は、あらゆる市場にとって日本を非常に魅力的な国にしている。日本政府観光局によると、2023年の訪日外国人旅行者数は2,506万6,100人で、2019年の3,188万2,049人のほぼ80%に達した。日本政府は2030年までに6,000万人を目標としており、世界的なホテルブランド、航空会社、インバウンド事業者、大手OTAを含むWiTのすべての講演者は、日本のインバウンドに明るい見通しを持っている。
しかし、その対応能力には懸念がある。高齢化社会、労働人口の減少、若者の観光産業の参加への消極性、そして観光産業の成長は日本の昔ながらの伝統の破壊につながるのか、それともルネッサンスにつながるのか。アウトバウンドはどうなるだろうか?