コロナ禍で得たものを未来へつなぐ京都府
----国策として令和3年度に外国人観光客 4000万人を目指していた中、京都府の令和元年の観光入込客数および観光消費額はそれぞれ、約 8791万人、約1兆 3025億円という数字を発表されています。ところが令和 2年 4月、政府より新型コロナウイルス感染防止の観点から緊急事態宣言が発令されて以来、観光産業に限らずさまざまな業界で経済的な打撃を受けました。
西脇 新型コロナウイルス感染症の拡大により、京都府に限らず全国各地の観光地は厳しい試練に立たされました。令和元年には京都府で 886万人もおられた訪日外国人客もほぼ皆無になりました。宿泊稼働率も68%減少し、年間約 70万人規模の修学旅行も大半が取りやめとなりました。また、年間 400回開催されていた国際会議もほぼなくなり、観光に関連する産業は大きな影響を受けました。
----年間約 70万人の修学旅行生や400を超える国際会議の誘致数はまさに京都の底力です。コロナ禍で観光産業が低迷する中、府としてどのような対策をとられたのですか。
西脇 厳しい経営状況にある観光事業者に対し、事業を継続し雇用を維持していただくため、雇用調整助成金など国の制度も活用していただくとともに、観光事業者の実情に応じたきめ細やかな支援を行ってきました。また、コロナ禍で観光を振興するためには、まずは安心・安全の確保が重要であることから、宿泊施設の感染防止対策への支援や修学旅行中に感染の疑いが生じた場合の「24時間電話相談窓口」の設置などを行いました。コロナ禍の中であっても、人々には旅に出たいという思いがあり、とはいえ、遠くには行けないということもありましたので、感染状況を見ながらではありましたが、京都府民に向けた観光の需要喚起の取組を行ってきました。京都観光はこれまで京都市内が圧倒的に強く、京都市以外の地域はまだまだ観光客が多くない状況にありました。コロナ感染拡大初期の頃は人口密集地域で感染が拡大したため、観光地も密を避けることができる静かなエリアが好まれ、情報発信を強化したこともあり、京都市以外の地域にも観光客を呼び込むことができたと思います。
私は知事就任当初から、「現場主義を徹底すること」「前例にとらわれないこと」「連携にこだわること」この3つを職員にお願いしていますが、まさにコロナという有事に対してもこの3つの姿勢で対応しています。
前例がないという意味では、府と市が一緒に繁華街の見回りを行ったり、私自身もコロナ患者を受け入れている病院を訪問するなど「現場」にこだわった取組も行いました。そのほか、さまざまな対策を重ねることで有事における対応能力を高めていると思います。危機事象というのは、全く同じことが起こるとは限らないので、大切なことは今回の対応を教訓として次につなげていくことです。