「海の京都」「森の京都」「お茶の京都」「竹の里・乙訓」発信
----府としては “もうひとつの京都 ”として「海の京都」「森の京都」「お茶の京都」「竹の里・乙訓」を発信されています。
西脇 京都府域の観光地を「もうひとつの京都」として知っていただくため、それぞれのエリアの特徴から「海の京都」「森の京都」「お茶の京都」「竹の里・乙訓」と称して始めた取組ですが、地域振興や、地域の活性化に向けてのキャッチフレーズという意味も持たせています。
この取組によって、これらのエリアの観光入込客数は増えましたが、1人当たりの観光消費額が低いという課題もあり、「宿泊」「飲食」「お土産」「アクティビティ」などで消費額を上げようと取り組み、効果が出始めた時にコロナ禍に見舞われました。私が天橋立に行った時に 10回以上京都を訪れている台湾の方に出会いましたが、「もっと早くにここに来たかった」という感想を聞き、PR不足を痛感しました。府域には、天橋立のほかにも和束の茶畑など、魅力的な場所が多くある中、京都市は、市周辺部を「とっておきの京都」と名付けて取り組まれていますが、それらのエリアは「もうひとつの京都」のエリアに接していることから、府市が連携して取組を強化し、さらに大きく周遊させようとしています。
今後は、観光により地域交流を活性化させることで、交流人口や関係人口の増加を目指したいと思います。またそのことが、観光地としての自信や力となり、京都府全体の観光振興につながるのだと考えます。
----ところで観光産業に従事しない方々の観光事業に対する反応はいかがでしょうか。
西脇 観光に直接携わっていない府民の方も京都の魅力や強みの一つが観光ということを認識されていると思います。京都出身というだけで羨望の眼差しを受けることがありますが、そのベースに京都の文化や観光があるからだと思います。一部の地域に観光客が集中することなく、府全体が観光産業を軸に活性化していくためにも、これまで以上に観光地としての魅力を高めていきたいと思います。
京料理が国の無形文化財に登録
----京都と言えば京料理に代表される食文化が豊かな土地であり、観光にも欠かせないコンテンツの一つだと思います。食と観光という点において、府はどのような戦略をお考えでしょうか。
西脇 京都府では「食」というテーマで横串をさし、誘客につなげる「食の京都」という取組をコロナ前に打ち出しました。その戦略の一つとして、府内 9ヶ所に「食の京都」の拠点として「食の京都テーブル」を設置し、さまざまな取組を展開しています。 食は観光資源として大きな要素ですが、まさに生活文化でもあり、食、作法、料理人、しつらい、そしておもてなしなどが長い年月を経て受け継がれています。このように大切に育まれてきた伝統的な京料理を 10月 12日、文化庁の審議会が国の無形文化財に登録するよう答申されました。京野菜などの京都の食材を活用し、伝統行事や美意識などの「京都らしさ」を料理で表現する姿勢が「京料理」が無形文化財に登録されることにつながったのです。今後は、京野菜などの食材とともに四季を通じての「食」の魅力を発信していきたいと思います。