いよいよ文化庁が京都に移転。京都のポテンシャルを活かして更に飛躍
----そして来年には京都府庁舎に隣接した場所に文化庁が移転されますが、京都のポテンシャルは何でしょうか?
西脇 京都の魅力を構成しているのは、町並み、建物、文化財など有形のものに加え、食、茶道、華道などの生活文化、能、狂言などの芸能など様々ありますが、いずれも日本の文化の象徴です。千年以上の営みが体感、実感できることが京都の強みだと思います。明治以来初となる中央省庁の移転の意義は極めて深いと思います。
また、このようなポテンシャルを持つ京都には大学や研究機関も多く、留学生も含めて海外から見ても魅力です。例えば、京都には世界的な企業がありますが、今も京都に本社を置いておられるということは、産業の面でも世界に対しての発信力があるからだと思います。また、京都の場合、明治期から大学の研究成果をベンチャー企業の発展につなげている例も多く、産官学が非常に近い関係にあるというのも特徴の一つです。
万博のゲートウエイに「関西パビリオン」を設置 関西全域の活性化に
----地域、他の行政機関、教育機関との連携は府政の発展に欠かせないものです。府知事自らが前例にとらわれず積極的に行動している姿は府民に安心感や勇気を与えます。
西脇 関西は、関係自治体で関西広域連合という自治体を作り、防災やドクターヘリの運用など広域で連携して取り組んでいます。このような土台もありますので、関西広域連合で「関西パビリオン」を設置し、「大阪・関西万博」を関西各地域の魅力を知っていただく絶好の機会として、関西全体で盛り上げていきたいと考えています。関西が持つ国宝や世界遺産なども大いにアピールして、関西パビリオンをゲートウエイとして、関西の周遊ストーリーを世界に向けて発信できればと思います。 想定来場者数は 2800万人が見込まれていますので、来場される全ての方に関西を周遊していただくというぐらいの意気込みで取り組みます。
----観光産業の活性化は国力を高めていくための重要項目なのですが、ホテルなどの観光業界の現実に目をやると、人手不足問題が課題となっています。
西脇 人材不足は後継者問題も含め、観光業界だけではなく全ての業種に共通している深刻な課題です。特に観光業界については、非正規雇用労働者の割合が高いということもあり、コロナ禍で観光業界を離れた人が、戻ってきていただけるかどうか、非常に心配しています。
京都府では、かねてから観光人材の育成に力を入れており、京都大学と京都府観光連盟が連携して経営者向けや観光従事者向けのセミナーなどを開講し、コロナ禍では、動画講座の視聴で学んでいただけるような工夫をしてきましたが、今後は、我々も含めて人材育成を実施している機関が連携することが効果的だと考えています。また、観光業界でも働き方改革が必要ですので、生産性向上を目的としたデジタル人材の養成も不可欠だと考えており、持続可能な人的基盤づくりに取り組んでいきます。
交流をキーワードに持続可能な観光をめざす
----ぜひ、官民一体となり人材育成・養成に協力していただきたいと思います。最後に今後についてお聞かせください。
西脇 観光は京都の魅力、強みの一つになっているので、持続可能なものにすることが重要です。そのためには、「もうひとつの京都」の魅力を発信して、観光客に分散、周遊を促していくことが必要です。また、「交流」の観点を観光に取り入れ、地域の活性化を図ることが持続可能な観光につながると考えています。例えば何度もその地域を訪問し、地域の方と親しくなる、観光で京都に来たことをきかっけに京都に就職をする、企業の場合は会議などで訪れた京都でビジネスなどに繋がるなどが考えられます。このように、観光の幅をもっと広げて、府内の交流人口、関係人口の増加につながる観光政策によって、地域経済の活性化に貢献できるよう、現場主義の徹底と前例にとらわれない精神で取り組んでまいります。