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第191回 新しい視点 「ホテルの価値」向上理論 〜ホテルのシステム思考〜

第191 回『現在の社会環境にあった最新のホテル旅館格付け(Hotel & Ryokan Classification)とは』

【月刊HOTERES 2015年10月号】
2015年10月09日(金)
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 現在の日本のホテルマーケットにおいて、あるべきホテル旅館格付け基準とはどのようなものなのでしょう。訪日外国人数が2000 万人という大台が現実的なものとなり、またスマートフォンなどを介して常にさまざまなネットワーク中で人同士がボーダーレスに常につながりを持てる時代にあって現在求められる宿泊施設の格付け情報とはどのようなものなのでしょうか。まず、そもそも「格付け」という表現について、再度整理しておきたいと思います。海外の格付け基準および制度を見ますと、「HotelClassification」という表現が多く見られます。「Hotel Rating」という表現と比べますと、「Hotel Classification」では「格付け」という意味も持たせつつ、「分類」というニュアンスにより重きを置いています。
 
 弊社が準備している10 段階(1 スターから4 スターには中間にプレミアムを設け、0 スターから5 スターまで)評価においても、5 スターが優れ、1 スターが劣るということを意味しているわけではありません。例えば1 スターのホテルは、清潔感はあるが提供機能をあえて限定することで逆に他カテゴリーを圧倒して利便性の高いホテルとなっていることもあるからです。つまり、宿泊施設の格付け情報は、宿泊施設の上下関係を示すものではなく、顧客がおのおのの目的に照らして選択する上で参考としうる指標であるべきであり、個性ある宿泊施設がおのおののマーケット内ポジションを表現するための並列的な関係、つまり選択情報としてのポジショニングを示すための情報源となるべきと言えます。つまりは、情報提供により求める機能は「分類」でありつつかつサービスレベルや提供機能の幅に関する目安となる「格付け」情報をも包含するものとして用意するべきだと思います。
 
ただそのようなニュアンスに、ぴたっとはまる日本的な表現がないことから、日本語では「格付け」としつつ常に英語を併記し「Hotel & Ryokan Classification」と対表記しておく必要があると考えています。つまり「日本版ホテル旅館格付け基準(Japan Hotel & Ryokan Classification)」が最適だと考えています。またこれに近い表現に「品質認証」や「品質保証」という表現があります。英語で表現しますと「QualityAssurance」と言われます。こちらの表現の方が、序列評価を連想させる「格付け」よりも、より「分類」に近い表現となります。ただし一方で、さまざまな品質認証制度があり、それらの多くが、顧客視点というより供給者視点あるいは制度的観点から設計されているものも多いことから、顧客ニーズに基づく品質というより、政策的な観点の介在を連想させてしまう可能性も否定できません。「格付け(Classification)」は、基本的には顧客視点に基づく情報であるべきであるとの考えから、弊社では現在運用している基準を、「ホテル旅館格付け(Japan Hotel & RyokanClassification)」と定義しているのです。

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