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2020年4月24日号 TOP INTERVIEW

一般社団法人日本ホテル・レストランサービス技能協会 会長 森本 昌憲 氏

【週刊ホテルレストラン2020年04月24日号】
2020年04月23日(木)
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学校、ホテル、従業員を結ぶネットワークの真ん中で「不足を克服する人財育成」を推進

---専門学校とも強い連携を結んでいますね。

専門学校の学生にとってホテル、レストランは就職先であり、ホテル、レストランにとって学生は人財です。当然とはいえ学生がホテルの仕事、就職先に思い描くイメージと、実際にホテル、レストランの職場が提供する環境の間にはギャップがあります。そのギャップなどについて企業との相互理解を深めるため、HRS では一時中断していた専門学校との意見交換会を2 年ほど前から再開し、これまでに九州、中部・大阪、東京で開催しました。今後もホテル業界を目指す人たちを預かっている専門学校とのネットワークを全国的に結ぶことで、その人たちを企業・職場で育成するホテル側との認識や価値観のギャップのようなものを理解し埋めていきたいと考えています。

経営者は「人材不足の中で教育研修が大事だ」と必ずおっしゃいます。一般的にトップのその言葉は組織の上から下へとかみ砕かれないままそのまま降りてきて、最終的に現場を預かるリーダーが板挟みで最も苦労するという構造が見られます。組織立った人材育成が厳しくなっていると言えるでしょう。ホテル業界に興味を持ち、ホテルで働くことでキャリアアップしていこうと決意した人たちが、入社後数カ月で辞めてしまうのは本当にもったいない話です。人材が定着する形を築き上げる必要があることは言うまでもありません。

私は「人材不足を克服する人財育成」が必要だと思います。採用活動と共に入社した人たちが辞めないようにするためのプログラムをホテルが掲げ、その仕組みを辛抱強く継続していかなければならないと思います。実際に成果を上げている企業もあります。

その意味で、専門学校、ホテル会社、ホテルで働く人たちを結ぶネットワークの真ん中に位置付けられるHRS には、果たすべき使命があると感じています。ホテルという施設を構えていると館内のオペレーションを中心とした内向きの発想になりがちです。業界やホテルが抱える課題や教育研修などのニーズに対応するために、HRS がそれぞれの意見を伺いながら人材育成の役割の一端を担っていく形を追求しています。

ここでは「国際化」も一つのテーマとなります。外国人とともに働くのが当たり前となった今、外国の方が日本のホテルで働くために必要な基本的な知識を提供しその成果を協会として認定する仕組みづくり、そしてもう一つは「和食」について、しっかりとしたマナーとサービスを習得し、指導者として広く伝えられる人材を育成するプログラムを作ることです。

「個」であるお客さまに対応するためにES 向上につながる取り組みに注力すべき

---新型コロナウイルスの影響について、どのような見方をしていますか。

新型コロナウイルスの感染拡大は、先が予測できず、経営を脅かしかねない厳しい状況で、対策については皆さまが真剣に検討されていることと思います。この危機対応に当たっては、企業や各協会個別ではなく、今こそ宿泊業界問題を共有し一丸となって声を発するべき時であり、チャンスだと思います。お客さまと接する最前線に立つスタッフの皆さまも、大きな不安を感じられることでしょう。

確かに辛い時期ですが、この時間をいろいろな形で自己啓発などのために使ってみるのも一つの考え方ではないでしょうか。人々の動きが制限される中で、ただ縮こまってしまうだけではなく、日々の接客の中からお客さまの変化やニーズについて最も体感的な知識のある現場の方々の情報を集め、それを協会ほかの会報誌やWEB 等を活用して積極的に提供しホテル業界でお互いに情報や意見交換ができる「場」を創っていけたらいいなと思います。

---東京オリ・パラが延期になったことに関しては。

東京オリンピック・パラリンピックが延期になった今、ホテルにとって一番の財産である働くスタッフの不安の解消と満足度を向上させる取り組みも進めることができるのではないでしょうか。最も恐ろしいのはビジネスが停滞してしまうことです。今こそES 向上に向けて、経営者が従業員に対して心を配り、思いやりを持って接していく内なるホスピタリティ向上の姿勢が求められています。従業員の方々を大切にしながら、この窮状を何とか切り抜けていくための取り組みを進める経営者のホテルは、1 年後に数に踊らされることのない商品づくりができると思うのです。

オリンピックを目的に訪日するお客さまも、1 人1 人が「個」の人間です。個に対応できるサービスの基盤づくりにはES 向上が不可欠であり、それができないままに数を追う戦略を立ててしまえば、そのイベントがなくなった後には商品が残らなくなってしまいます。1 年後にそうならないためにも、今のうちに特にES 向上を支える組織・活動を進めるべきだと思います。これまでに自分たちのホテルのファンでいてくださる顧客をどれだけ深く、広く創ってきたかが今問われています。新型コロナウイルスが終息に向かわない限り人が集まるのは難しいことですが、こんなときだからこそ絶対的なファンの方々にお便りなり連絡を入れるべきではないか考えます。その活動をホテル全体で進めておくことはお客さまへの心遣いを表現することにつながり、後にプラスの影響となって現れるはずです。

---HRS の今後の展望を教えてください。

生意気な言い方かもしれませんが、HRS は業界のあらゆるところと特にサービスを通じてつながる、ハブのような存在だと自負しています。どこか特定なところに与することなく、それぞれの話を聞いて価値観を共有していきたいと考えています。

その立ち位置を活かしながらネットワークをさらに広げ、「HRS に聞けば何か役に立つ情報を提供してくれる」と皆さまに思っていただける「場」となって業界の発展に寄与することが、私たちに課せられた大きな使命と考えています。

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