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新年号スペシャルインタビュー  一般財団法人日本総合研究所 会長 寺島実郎氏

日本版IRを展開するためには 「うなるような知恵」が要求される

【週刊ホテルレストラン2018年01月12日号】
2018年01月12日(金)
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寺島実郎(てらしま・じつろう)
1947 年北海道生まれ。早稲田大学大学院政治学研究科修士課程修了後、三井物産入社。米国三井物産ワシントン事務所長、三井物産戦略研究所所長、三井物産常務執行役員、早稲田大学大学院アジア太平洋研究科教授等を経て現職。多摩大学学長も務める。国交省・国土審議会計画推進部会委員、経産省・資源エネルギー庁総合資源エネルギー調査会基本政策分科会委員等歴任。著書に『ユニオンジャックの矢ー大英帝国のネットワーク戦略』(NHK 出版)、『シルバー・デモクラシー』(岩波新書)、『中東・エネルギー・地政学』(東洋経済新報社)、『新・観光立国論』(NHK 出版)ほか多数。

 日本版IRに求められる要素とは何か? 議論すべき方向性はどこにあるのか? IRの成功モデルとしてどこを参考にすれば価値を高めることができるのか? 数々の本質的な疑問に対する回答に近づくための思考法を獲得するため、寺島実郎氏にインタビューした。“ うなるような知恵” を絞り出すために、日本が向き合うべき現実と、ホテルをはじめとする観光産業、エンターテインメント産業、そしてホテルマン一人一人が真剣に熟慮しなければならない課題について、高次元の論説が展開される。

「非日常性」というキーワードのもと、
多様な選択肢の中で魅力を配置する
 
—日本版IRを考えるとき、特に参考にするべき海外のIRはどこだと思いますか。
 
 世界中のIRを隈なく見てきた私の個人的な意見ですが、日本版IRにとってはシンガポールモデルが一番の研究対象であり、大いに参考になるのではないかと考えています。
 
 マリーナベイはサンズに運営させて、セントーサはマレーシアのゲンティン・グループの資本を使ってローカルな運営をさせている。この展開はシンガポールの賢さを象徴していると思います。両者をポジティブな意味での競争関係にすることで、知恵比べをさせているのです。
 
 シンガポールは都市国家としての限界を背負っていて、国土も狭いですし、産業力に依存して国民を豊かにするという選択肢が非常に限られています。そこにあるネガティブな問題もすべてしっかりと視野に入れながら、熟慮一番、観光で付加価値を高めていく方向性を突き詰めてきたわけです。
 
 観光に必要な要素は「非日常性」です。このキーワードのもとに、多様な選択肢の中で魅力を配置しなければなりません。
 
—カジノのギャンブル依存症の問題に関しても、対策を打っています。
 
 ギャンブル依存症対策に見られるシンガポールモデルの知恵は、まず一切の宣伝を許していないところにあります。テレビCMを流してはいけない、ラッピングバスにもカジノの宣伝は載せられません。ギャンブル依存症の人の家族から通報があれば、カジノには出入りさせないといった仕組みがあります。また、シンガポール人には日本円にして7000 円ほどのエントリーフィーを徴収するといった、体系的なルールづくりも行なっています。
 
 また、こうした形を採ることで、カジノのメインターゲットがインバウンドであることを明確にしています。
 
 IRを展開していくためには、「この手があったのか」と思える“ うなるような知恵” を出していくことが必要です。たとえば、どのようなシステムで小さなスペースの交通をコントロールするのか。要人が訪れたときのセキュリティーを考えてみても、観光にとってそれは非常に重要なポイントとなります。
 
 シンガポールの場合、車のナンバーの偶数と奇数で分けて、たとえば「今日は偶数ナンバーの車は走ってはいけない」といった思い切ったルールを作ってしまう。しかもそうすることで、お金持ちは偶数と奇数のナンバーの車を2台所有するようになり、シンガポール国内の経済に好影響を与えるという副次的な効果も出てくるのです。
 
 日本各地で「IRをやりたい」という声が上がっていますが、IRをやるためにどこまで広く視界に入れなければならないのかを理解しておく必要があると思います。

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