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スペシャル対談  ㈱目黒雅叙園 代表取締役社長 本中野 真氏 ×㈱オータパブリケイションズ 代表取締役社長 太田 進

「ホテル雅叙園東京」が持つ恵まれたハードを最強のものに磨き上げるために人を育て続ける

【月刊HOTERES 2017年05月号】
2017年05月19日(金)
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将来的には「ホテル雅叙園」の
ブランドを各地で展開する形も模索
 
太田 ホテル事業を強化したことで、どれくらいのレベニューアップにつながりましたか。
 
本中野 ざっとですが、トップラインが10 億円程度アップしてきています。極端な言い方をすると、これまでは専門式場としての意識が強すぎて、宿泊を含む他の事業に関しては何もしてこなかったという印象でしたから、私としては普通のホテルがやっている通りのビジネスモデルを推進したということです。
 
 料飲は料飲で、価格戦略・集客戦略がまったく実践されていませんでした。千客万来でお客さまがずらっと並んでいて、ただ対応しているだけ。どうして多くのお客さまがランチに訪れるかと言えば館内に保有する文化財の催事があるからで、逆に催事がないときは集客をあきらめてしまっていました。私たちはこれまでの経験から培った集客戦略を展開することで、今は催事がない日でもレストランはしっかりと集客できるようになっています。
 
 また、バンケットもすべて価格を精査し、室料や委託費、人件費も見直しました。これによってトップラインは3 億円程伸びてきています。従来のバンケットの演出は半自営化していたため、競争力も提案力も欠如していました。そこで協力会社と契約して、演出を任せることで収入・収益を共に向上させることにつながったわけです。
 
 私たちは、将来的にはオペレーターとしてだけでなく、オーナーとして自社ブランドを展開していくといったビジネスモデルにも可能性があるのではないかと模索しています。「ホテル雅叙園」という一つのブランドを、各地で展開していくという構想です。そうなると今度は「ホテル雅叙園」とは何か? どんなホテルか?と自問しながら、ブランドとソフトを急ぎ醸成させていく必要があると課題認識しています。
 
太田 これまでのところ、再生は順調に進んできているようですね。
 
本中野 背景として幸いにもこの1 年半、ベースである婚礼事業が回復基調にあったことです。何と言っても婚礼事業の売り上げは40 億円を超えていて、おおよそ総売上の50% です。目黒雅叙園にはその歴史と、日本の文化を活かした専門式場としての強みがあると思います。和装での挙式ということもあり、婚礼単価は5 万円を超えています。そのポテンシャルは非常に高いものがあります。どんな形であれ結婚される方がたくさんいらっしゃるということは、これから先の事業に必ずつながっていきます。
 
 すなわちライフタイムサイクルの中で生涯顧客を獲得していくことが私たちの事業の中心だと考えているからです。その意味で婚礼事業はリピートにつながるベースとなりますから、挙式組数をコントロールする方向性は全く考えていません。チャネルが広がったら、広がっただけの対応をしていこうという姿勢で臨んでいきます。実際、本体婚礼だけでなく、フォトウエディングも増加傾向です。年間で見ると本体1300 組、フォト400 組といったところです。
 
これに加えて今年度は「リストランテ カノビアーノ」を5 月にオープンします。開業する場所は、ホテル棟とは別棟の建物で、下が宴会場で上がチャペルという構造なのですが、年間100 件弱の挙式を行なうものの、会食はホテル棟のバンケットで行なうためこの施設自体ではほとんどお金を生んでいませんでした。それならばお金を生む仕組みを作ればいいということで、独立したレストラン及び、レストランウエディングを展開することになったのです。お客さまに移動いただかず、その施設内で祝祭のストーリーを完結させるのです。
 
「何を言っても変わらない」から
「何か言ったら変わる」へシフト
 
太田 変化がプラスに作用して従業員の満足度が上がってくれば、サービス時の顔つきや態度に自然と表れてくると思います。
 
本中野 「何を言っても変わらないんだ」という世界から、「何か言ったら変わるんだ」という雰囲気へとシフトしてきたのだと思います。私は常に「ゲストのコメントをどんどん共有しなさい」と言っています。レピュテーションマネージメントが完結できなければ、ホテルとして生き残っていけません。お客さまが「改善してほしい」ということに対して、どのような対応をするのかについては、しっかりと検討していかなければならないのです。おのずと顔つきも変わってくるはずです。
 
 今年はお客さまからどのような声が出ているのかをしっかりと拾い上げられるように、どちらのホテルにもあるゲストリレーションサービスの組織を立ち上げました。そこでよりお客様に近い顧客目線によるサービス改善を行っていきます。
 
 ホテルづくりに関して、私たちの手法は周りを常に巻き込みながら、みんなで思いを共有してコミュニケーションをはかっていきます。ゲストのリクエストにスピーディに対応していく手法が私たちのホテルづくりには不可欠です。トップにすべてを委ねる組織の在り方ではなく、コミュニケーションとチームワークを大切にしたホテル事業を展開したいのです。「ホテル雅叙園東京」の恵まれたハードを最強のものに磨き上げていくために、これからもコミュニケーション能力にたけた人財を育て続けていきたいと考えています。

本中野
Makoto Motonakano
PROFILE 1963 年8月28 日生まれ。日本大学法学部卒。87 年4月㈱ニューオータニエンタープライズ入社。96年1月㈱ヒューマニアエンタプライズ(ホテル日航東京)入社。同ホテル料飲部レストラン・バーグループ支配人を務めた後、2003 年宴会部長に就任。04 年料飲部長を兼務。婚礼部門を中心とした部門横断的改革に着手し、婚礼実施組数年間1000 件達成の礎を築く。06 年1月ホテル日航東京営業本部長、07 年4月同ホテル副総支配人に就任。12 年1月㈱JALホテルズ転籍、ホテル日航東京総支配人に就任。15 年11 月㈱目黒雅叙園代表取締役社長に就任。

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