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シンガポール発祥のラグジュアリーブランド、 「ラッフルズ・シンガポール」の現在

シンガポール発祥のラグジュアリーブランド、 「ラッフルズ・シンガポール」の現在

2024年01月16日(火)
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1887年にシンガポールで設立されたラッフルズ・シンガポール。ホテル、リゾートレジデンスは、今もアイデアが生まれ、歴史が作られ、物語や伝説が作られる無限の可能性を秘めたシンガポールにおける特別なデスティネーションとして親しまれている。23年11月下旬に来日した、ラッフルズ・シンガポールのマーケティングコミュニケーションズディレクターのJESMINE HALL(ジェスミン・ホール)氏に話を聞いた。
 

取材・文 長谷川 耕平/※取材:2023年11月
 

JESMINE HALL(ジェスミン・ホール)氏
JESMINE HALL(ジェスミン・ホール)氏


シンガポールのホテル市場の現状について教えてください。
 
 シンガポールはコロナ(COVID-19)が収束してから、この1年間でホテル市場は活性化しています。特に中国を含むアジア圏からのレジャー客が急増。コロナ前に比べると、宿泊客の地域には変化があり、ラッフルズでいうと、2022年下半期から23年上半期はオーストラリア、アメリカ、イギリス、中国が多いです。コロナ前は、日本はトップマーケットの1つでしたが、国際便の便数が減り、コロナ前に比べると、レジャー客が減っています。
滞在日数に関しては、コロナ前より約1日延びています。平均滞在日数でいうと、2泊から3泊になりました。

 当ホテルで見ると、ADRはコロナ前の約2倍に。シンガポールの市場全体で見るなら、ADRは約3割増加しています。ただし、ホテルのカテゴリーによってADRの増加幅は異なります。ラッフルズのようにラグジュアリーブランドの増加率は高く、バジェットタイプのホテルは、それほどADRは上がっていません。
 
ADRの上り幅が大きく異なる要因について教えてください。
 
 私が思うに1番の要因は人件費の高騰で、優秀な人材を確保するために、ADRを上げて利益を確保する必要があるからだと思います。
 前述のとおりで、市場全体でみるとADRは大幅に伸長していますが、必ずしもポジティブな状況とは考えていません。それは、社会インフラを含め、相次ぐ物価高の影響が大きく作用しているからです。また、不動産価格の上昇も異常なほど高く、自国民が都心部に住めない状況になっています。そのため、シンガポールでは今、住宅問題が大きくクローズアップされています。
そのため、どの企業もその物価高に対応するために給料を上げています。そうでないと、離職してしまうからです。幅広い世代の従業員の雇用を維持するためには給料アップは、重要な経営課題であり、その課題解決に向けたADRのアップです。
 
日本のホテル業界でも同様の人事課題を抱えています。ラッフルズ・シンガポールにおける社員の働き方を教えてください。
 
 シンガポールはジョブ型雇用のワークスタイルが定着しているため、フレキシブルに働くことができます。ラッフルズに関しては、社員の働き方は「8+1」時間が基本です。繁忙期を除くと、それほど残業もありません。年次休暇もきっちりと取得でき、毎月のシフトも連休になるように働き方を調整できます。企業は優れた人材を確保するために、給料に加え、福利厚生などの点でも差別化を図っています。
 今回も日本での仕事を終え次第、東京、大阪でのんびり過ごして余暇を楽しみ、年次休暇を消化する予定です。まとまった休暇を取得できることも、ラッフルズにおける働き方の魅力の1つです。
 
求人募集に関しては、どのような打ち出し方をしていますか。
 
 最初にお伝えしたいのは、ラッフルズ・シンガポールは、シンガポールを代表するラグジュアリーデスティネーションということです。そのため、ラッフルズ・シンガポールの中には、ホテル、レストラン、アーケード、庭園をはじめ、多くの施設で構成された空間です。その空間ごとで業種も分かれるため、多種多様な人たちが働いています。
 求人募集に関してですが、私が所属するマーケティング部門でいうと、マーケティングの専門家を募集しています。日本のメディアがラッフルズ・シンガポールの求人と聞くと、ラッフルズはラグジュアリーホテルだから、ホテル経験者を採用するように思われるかもしれません。実際には、マーケティング部門が求めているのはホテル経験ではなく、マーケティングスキルのある即戦力です。
 私事になりますが、私はラッフルズに転職した際、ラグジュアリーブランドにおけるマーケティングに興味を持ち、これまでのマーケティングスキルが活かせると考え、入社しました。そのため、入社後の仕事内容に関するギャップはありませんでした。
 
日本だと、ホテル・観光業界におけるDX(デジタルトランスフォーメーション)の活用が注目を集めています。ラッフルズ・シンガポールのDX事例があれば教えてください。
 
 テクノロジーとホスピタリティの融合は、たしかにシンガポールの観光業でも注目を集めています。
 ラッフルズ・シンガポールのDX事例を1つ挙げると、客室内の照明や空調などのコントロールやバトラーの呼び出しは、すべて室内装備のタブレット1つで操作可能です。とはいえ、お客さまの中にはアナログな操作を希望する人も多くいるため、手動のスイッチも以前と変わらず使用できるようになっており、テクノロジーとホスピタリティを使い分けて対応しています。
ラッフルズはラグジュアリーホテルのため、テクノロジーだけではなく、人のホスピタリティを求められる方も多く、テクノロジーとホスピタリティにおけるマーケティングも私の仕事の1つです。

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