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2023年7月14日号 観光・ブライダルマーケットエリアデータファイル 《全国編~景気動向編~》

観光・ブライダルマーケットエリアデータファイル 《全国編~景気動向編~》

【月刊HOTERES 2023年07月号】
2023年07月13日(木)
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前回に引き続き新たに全データを更新して全国の主要都市を分析していくにあたって、国内の景気や消費のマクロ動向について整理しておきたい。ロシアのウクライナ侵攻以降、緊迫化している世界情勢を受けて、国内経済も不透明感が増している。観光産業は回復基調にあるものの、依然さまざまなリスクに晒されていると言えるだろう。今後の景気の背景となる雇用や物価の状況についても見ていきたい。

文殊リサーチワークス http://monju-rw.com

1.国内の景気・消費の動向

 5月に新型コロナウイルスの感染症としての扱いがインフルエンザと同等の 5類に引き下げられた。感染予防のための規制がおおむね撤廃され、国内観光客やインバウンドも回復してきているものの、昨年 2月のロシアのウクライナ侵攻から世界情勢が一気に緊迫感を増しており、世界的なインフレや食料危機など、世界経済にも大きな影響を与えている。わが国でも急激な円安から物価高が進展し、国内経済の先行きは不透明さが一層増す状況になってきている。
 
 ウクライナ侵攻以降、アメリカと中国の関係はさらに冷え込んできており、日本を巻き込む形で冷戦時代のようなデカップリング(2カ国間の経済や市場が連動していないこと)も言われている。比較的近い将来の台湾有事の可能性も否定しきれない。東南アジアにおける紛争は観光業においてはインバウンド集客に直結する深刻な脅威と言えるだろう。
 
 ここではこのような状況下にある国内の経済動向や消費動向、その見通しを公的指標データから確認していきたい。まず、内閣府の景気動向指数から景気変動の状況を確認しよう。景気動向指数は生産、労働、投資、商業、営業利益、求人、輸出などさまざまな景気を判断する指標を一つの指標に統合したもので、総合的に景気の現状把握や将来予測をするための指標である。
 
 最新データである3月の CI(速報値・2015年 =100)(※ 1)は、先行指数(景気に先行して動く指標)は97.7、一致指数(景気に一致して動く指標)は98.8、遅行指数(景気に遅れて動く指標)は 99.8となった。一致指数の基調判断は景気の足踏み状態を示している。
 
 CI一致指数の長期トレンドを見ると、今回のコロナ禍による景気の落ち込みは、1985年以降、最も急激に景気後退したリーマンショックに並ぶものであったことがわかる。ただし、コロナ以前から景気はリセッションしており、コロナがなかったとしても景気は緩やかに後退していたと言える。(図表1)
 
 初めてコロナが国内で感染拡大し、第1回目の緊急事態宣言が出た 2020年 4~5月に景気は大きく後退したものの、その後は徐々に回復傾向にあり、2021年は比較的感染が収まっていた時期に上昇した。第 4回目の緊急事態宣言が解除された 10~12月にはさまざまな分野で経済活動が活発化し、むしろ滞っていた需要がこの期に一気に流れ込んだことによって、通常時よりも多忙となった企業も見られた。しかし、2022年に入ると、世界的なインフレに対する欧米の金融対策から急激な円安が進展、原油高騰、原材料の値上げなどが徐々に影響して、9月ごろからは景気が伸び悩んでいる。
  
 内閣府が実施する「消費動向調査」の消費者態度指数(※ 2)から消費マインドの動きを見ると、最新の 5月の消費者態度指数(二人以上の世帯)は36.0であり、前月差 で 0.6上昇している。消費者態度指数の動きから見た 5月の消費者マインドの基調判断は、持ち直しているとされている。
 
 消費者態度指数のトレンドを見ると、やはり2020年 4月ごろには消費マインドが大きく後退したものの、その後は徐々に回復し、ワクチンが普及して毎日の感染者数が低いレベルで抑えられた 2021年の 10月~12月ごろは、感染拡大前の2020年 1~3月レベルまで回復していたことがわかる。感染者数がある程度落ち着いてくれば、リベンジ消費が一気に動くと見られていた。(図表3)
 
 しかし、2022年に入り感染力の強いオミクロン株が拡大したため、消費マインドの回復は足踏み状態となった。さらに、ウクライナ侵攻以降は高熱費や日用品、食品の値上げが相次いでおり、家計を圧迫して消費マインドはまた落ち込む結果となっている。今年に入ってからはコロナの収束に伴い、消費マインドは徐々に上昇している。
 
 消費者態度指数を構成する各消費者意識指標について見ると、5月は「耐久消費財の買い時判断」が 1.1上昇し30.3、「雇用環境」が 0.8上昇し42.8、「暮らし向き」が 0.7上昇し32.9となった。一方、「収入の増え方」が 0.2低下し 37.9となった。また、「資産価値」に関する意識指標は、前月差 2.2上昇し 43.4となった。
 
 いずれも2020年 4月ごろにはコロナの影響で大きく後退しているが、特に「雇用環境」が大きく後退したことがわかる。その一方、2022年の円安・物価高などの影響は「暮らし向き」、「耐久消費財の買い時判断」を後退させた。(図表 4)

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※各種図表など詳細なデータにつきましては本誌ご購入いただけますよう、お願い申し上げます。
 
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