今回紹介する「Aiello Voice Assistant(Aiello 音声アシスタント、以下AVA)」は、元Google の技術者がCEO を務める台湾の新進企業が開発した、ホスピタリティに特化したホテル向けのAI ソリューションだ。アジアを中心に、60 以上のホテルブランドにおいて8000 以上の客室で利用。日本でもいよいよ3月に京都で初導入され、早くも熱い眼差しが向けられている。
Aiello Inc.
CEO 沈 書緯(ヴィック・シェン)氏
アメリカのモバイル通信技術関連企業「クアルコム(Qualcomm)」や大手インターネット企業「Google」の技術者としてキャリアを重ね、Google ホームやGoogle アシスタントの開発も担う。なかでも自然言語理解(NLU)のテクノロジーに将来性を感じ、2019 年に台湾でAiello Inc. を創業しCEO に就任。独自開発の音声AI技術をもとに、急成長する企業として数々の受賞歴を誇り注目を集める。
----近年はさまざまな AI音声認識のサービスが出回っています。「Amazonアレクサ」や「Googleアシスタント」が有名ですが、御社の AVAとの違いを教えてください。
一番の違いは、Amazonや GoogleがB to C(企業と個人)でサービスを提供しているのに対して、私たちはBtoB(企業と企業)であることでしょう。AVAは本来はホテルの利益を上げるために開発されました。だから、個人のお客さまを対象にした Amazonや Googleとは異なり、ホテルへのメリットこそ多数あります。
例えば、ホテルの管理システム(PMS)やオペレーションシステム、予約システム、タスク管理などは、AVAが自動化してワンストップで統合・管理ができます。そして、お客さまからのシンプルな質問や要望、外部提携先、フロントなどの簡単な定型業務は、AVAがホスピタリティ専門のRPA(仮想知的労働者)としてスタッフの代わりに対応します。
そのため従来の作業量が 100%から 20%へ大幅に減り、スタッフの負担が軽減されて人材不足を解消できるだけでなく、軽減された 80%の作業量を AIでは代替できない高度なサービスに充てられるため、より良いおもてなしができるようになるでしょう。
さらに、AVAに寄せられたお客さまの数多くの声を自然言語理解(NLU)を通して、言葉の中に意図された要望や行動、感情などを理解しながらデータを分析することで、日々のルーティンの中に隠されていたお客さまのニーズを拾い上げ、スタッフの教育やマーケティングにつなげることができます。
---- AVAの AI技術を御社で独自開発していることも、ホテル側にメリットとなるのでしょうか。
各ホテルにはそれぞれ独自のやり方があるので、AVAの導入はホテルオーナーと一緒に ITシステムを構築していく必要があります。弊社は AIやITに関する世界トップクラスの技術力を誇り、自らデバイスを構築しているからこそ、デバイスを売るだけの会社とは異なり、優れた調整能力にも自信があります。
そのため、お客さま一人ひとりの志向に合わせたよりきめ細やかなサービスはもちろん、AIが収集したビッグデータすべてにアクセスし、お客さまが本当に求めるサービスの提供にも大いに役立つでしょう。そして AVAは利用するほどデータが蓄積されて良いモデルとなるため、その可能性は絶大です。ホテルが抱えているさまざまな問題を AVAで解決できることをお伝えしたいです。
しかも AVAの設置は客室に置くだけ。部屋に電源と Wi-Fiさえあれば、簡単にホテルを DX化できるのも魅力です。