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2021年12月17日号 トップインタビュー (株)グリーンズ 代表取締役社長 村木 雄哉 氏

トップインタビュー (株)グリーンズ 代表取締役社長 村木 雄哉 氏

【月刊HOTERES 2021年12月号】
2021年12月15日(水)
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地域社会とのサスティナブルな関係づくり回遊拠点型ライフスタイルホテル

----新ブランドとして開業した「hotel around TAKAYAMA」(152室)は、ファミリーやグループ旅行に視野を向けた初の“体験を満たす”施設と聞きました。

 2021年 7月30日に開業した「hotel around TAKAYAMA」は、飛騨高山ならではのコトやモノといった地域の財産「GOOD LOCAL」との出会いを楽しめる、地域社会とのサスティナブルな関係づくりを基本コンセプトにしています。インバウンドも含め近年、旅に求めるものは、“モノからコト”すなわち「体験」へとシフトしていると感じます。これが宿泊以外の価値を尊重するライフスタイルホテルの増加と浸透につながったと考えています。

“地域×旅人(お客さま)×ホテル”の新たな出会いを紡ぎ、新しい価値を創造する回遊拠点型ライフスタイルホテルとして、ホテルのロビー部分には、旅の拠点となるエリア「GOOD LOCAL SQUARE」を設けました。飛騨高山の「GOOD LOCAL」を紹介するカードを100枚陳列した「GOOD LOCAL 100」、飛騨高山の文化を紹介する壁面ギャラリーなど、さまざまな形で地域の魅力を発信し続けることにスタッフ一丸となって取り組んでいます。

また、朝食には飛騨高山の食を楽しみつつ、フードロスを減らすためにセットメニューで提供する「四段玉手箱」(有料)を取り入れたほか、館内サイン(表示)に飛騨で廃棄される広葉樹のリサイクル材を使用するなど、周辺地域の森林資源の有効活用や地域循環にも配慮しています。 
 
----御社の SDGsへの取り組みについて、具体的に教えてください。

 「hotel around TAKAYAMA」では、先ほどのセットメニューでの朝食提供、廃材を利用した館内サインの導入に加え、滞在したお客様に環境保護へ意識を向けて頂くため、環境へ配慮したアメニティ・備品を使用しています。2022年春に施行となる「プラスチックに係る資源循環の促進等に関する法律」(別称:プラスチック資源循環法)は、ホテル業界にとっての客室備品(バスアメニティなど)のとらえ方を大きく変えると考えています。

 今回、「hotel around TAKAYAMA」ではアメニティの脱プラ化を考え、プラスチックの代替として、食用に適さない古米・砕米や麦を使用した容器(米/麦配合)を採用したほか、歯ブラシにはハンドル部分を空洞にして、原料の使用を抑える設計を施したものを採用しました。また環境に配慮しつつ、訪れた地域の自然をより広範囲に楽しんで欲しいと考え、電動アシスト自転車の貸し出し(有料)とサイクリングマップにより、散策で得られる自然体験の機会を提供しています。ここでなければ体験できない飛騨高山の「GOOD LOCAL」を楽しみ、また同時にその環境保護や地域循環にも配慮した宿泊施設として機能していきたいと考えています。

 弊社全体においても、SDGsへの取り組みとして、各ホテル運営地域の地元の食材を使用した「地産地消」朝食メニューの提供や、ドリンクコーナーなどで使用するコーヒーマドラーやストローの紙製品への切り替え、客室のトイレットペーパー使い切りのお願いなど、色々な施策を順次取り入れています。ホテル運営において環境への配慮は、ご利用いただくお客さまのご理解やご協力があってこそ実現できることです。これからも、ていねいにご理解を得ながら一つ一つ取り組んでいきたいと考えています。
 
 2021年 10月1日には、運営するすべてのホテルで、無料給水スポットが探せるアプリの「mymizu 給水パートナー」へ登録を完了しました。「mymizu」は、マイボトルを持参するユーザーと無料給水スポットを結ぶプラットフォームで、ペットボトルの利用削減とプラスチックごみの減量を目指す活動です。365日・24時間営業しているホテルだからこそ「ボトルを持参すればいつでも無料で給水できるスポット」を担えると考え、「環境配慮」への取り組みとして導入しました。 
 
----今後の宿泊主体型ホテルに不可欠なアプローチについてお聞かせください。

 2008年のリーマンショックからの需要回復以降、最近ではインバウンド増加、東京五輪・パラリンピック開催準備などにより、ホテル業界は活況が続いていました。足元はコロナ禍により厳しい局面に立たされていますが、過去の経験から宿泊需要は必ず戻ると見ています。だからこそ当社は、この時期に手控えるのではなく、これまでの動向を踏まえつつも、地域に必要な宿泊機能を絶やさないように尽力していく決断をしました。
 
 2019年から掲げている経営ビジョン「TRY! NEXT JOURNEY 〜新たな旅に踏み出そう〜」のとおり、当社ではお客さまや働く人たちなどすべてのステークホルダーに自由やホスピタリティ、そして感動といった価値をお届けしていくことを表明しています。急速にサービス業の DXが進むことにより、宿泊主体型ホテルには、今後、単に「宿泊」だけを提供する「作業」から、より自由に過ごして頂ける空間の提供、旅の目的にかなう地域情報の提供などクリエイティブな対応が求められ、そしてそれがホテルの差別化になるはずです。変化を楽しんで成長できる人と共に、企業としてさらに躍進していきたいと思います。


 

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