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2020年4月17日号 新しい視点「ホテルの価値」向上理論 ホテルのシステム思考

第395回 いまを乗りきるイノベーティブ発想(顧客評価)

【月刊HOTERES 2020年04月号】
2020年04月16日(木)
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一方でホテルの場合はどうでしょう。顧客が特に重視している「客室」に対する顧客評価を考えてみましょう。客室に対する事前情報は、インターネット等の情報等に限られているはずですので、事前期待値の手掛かりは、体験の文脈にこそあるはずです。つまり、事前の体験、客室の場合であれば、フロントでの接遇等の良しあしとなります。それらが良い場合は、良くなかった場合に比べて、事前の期待値が形成されやすく、その期待値に沿って実際に客室が良いと感じる場合は、素直に「この客室は良い」と態度を形成しやすくなります。アンケート調査では、合計66%の人が、「フロント接遇が良くなかった場合」に比べて、「フロント接遇が良かった場合」は、そのまま客室が実際良い場合、素直に良いと感じやすいと答えています。

つまり、通常の商品や製品の場合は、正確な情報に基づき事前期待値が形成済みであることから、それをさらに超えることで、それらに対する評価が大きく上昇しますが、ホテル等の場合は、そもそも論としてまずは事前の期待値をしっかりと形成するという視点が重要となります。また、さらに事前期待値を「超えて」良いと感じれば、もちろん上記通常の商品や製品と同様、より一層評価が高くなり、他者へ推薦したいと感じるはずです。

 

次いで、レストランの場合も考えてみましょう。レストランの場合、事前期待は、通常ありうるであろう宿泊体験の時間の流れを考えますと、客室を確認してから体験する、つまり客室からつながっている場合のほか、実際にレストランに赴いて感じ取る空間の質感や料理説明、テーブルセッティング等の「料理を食するまで」のピンポイントでレストラン内におけるシーンメイキングが「食事」に対する事前期待値を形成すると考えられます。以前、客室が良いとレストランも同様に良いはずと期待する人が多いという調査結果をご紹介しました。

今回は、さらにレストラン内における事前期待値形成の重要性を考えてみます。レストランに入店し、食事をするまでの体験が良いと、「料理を食した際に料理が良い」と感じる(態度を形成する)であろう人の割合が大きく上昇することが予想できます。以下アンケート調査の結果をご紹介しますと、レストランで、空間が快適で使用するフォーク等が清潔、かつ料理説明もできていれば、おいしい料理が出た場合に、空間が快適でなく使用するフォーク等に清潔を感じない、かつ料理説明がない場合と比べて、ストレートに良いと感じやすくなると答えた人の割合は66.5%と客室同様非常に多いという結果でした。

このように、ホテルでは、「事前情報が限られている」ことから、顧客実際のシーンメイキングで、顧客体験の文脈をコーディネートすることの重要性を認識しておく必要があると言えます。

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