昨今の新型コロナウイルス感染症(COVID-19)拡大傾向を背景とする調整局面環境下において、近い将来の需要回復期に備え、改めて足元を固めさまざまな需要を広く獲得しうるイノベーティブ発想に基づく取り組みおよびそこに求められる運営視点をご紹介したいと思います。特に今回は、通常の製品販売における顧客評価とサービス業における顧客評価の違いに着目したホテル業における適切な顧客体験コーディネートについて、新たな調査結果も併せて以下整理してみます。一般的な商品や製品の場合であれば、それら商品や製品の機能性や性能、デザイン等に関する詳細な情報を顧客側が事前に把握していることが通常ではないでしょうか。
一方で、サービス消費では、実際にそのサービスが提供されるまで、それら機能性、性能等に関する精緻な情報入手が困難な状況下において、事前に支払い価格を決定しなければならない場合も多いはずです。特にホテルの場合では、現地でデザイン性等を確認した上で支払い価格を確認し予約するのではなく、インターネットを通じた情報等の範囲内、つまり限られた情報下において利用する施設を選択しなければなりません。そのような違いがあるため、通常の商品やサービスとホテル事業等のサービス業では、提供される実際のサービス体験に対して求められる「質」が大きく異なるはずです。
北村剛史
Takeshi Kitamura
(株)日本ホテルアプレイザル 取締役/(株)サクラクオリティマネジメント 代表取締役/(一社)観光品質認証協会 統括理事不動産鑑定士、MAI(米国不動産鑑定士)、FRICS(英国ロイヤル・チャータード・サベイヤーズ協会フェロー)、CRE(米国不動産カウンセラー)慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科附属システムデザイン・マネジメント研究所研究員。ホテル・旅館の不動産鑑定評価会社である(株)日本ホテルアプレイザルの取締役。慶應義塾大学大学院システムデザイン・マネジメント研究科では「ホテル・旅館の人格性、パーソナリティー」をテーマに研究活動に従事