財団設立記念展覧会「Mon YVES SAINT LAURENT」ファッションショー。イヴ・サンローラン氏がデザインした服のこだわりやデザイン性を伝えるために、80~90年代を中心としたオリジナルアイテムをベースに現代のアイテムをリミックスした
(株)ユナイテッドアローズ
名誉会長
重松 理 氏 Osamu Shigematsu
1949年 神奈川県逗子生まれ。73年 明治学院大学経済学部卒業。73年アパレルメーカー、㈱ダック入社。76年ビームス設立に携わった後に、ライフスタイル提案型セレクトショップの創設を図るため 89年㈱ユナイテッドアローズを創業。現在は㈱ユナイテッドアローズ名誉会長のほか、(公財)日本服飾文化振興財団代表理事などを兼務。2016年 4 月東京・銀座六丁目に、和の美の専門店『順理庵 銀座本店』をオープン。16年 9月ユナイテッドアローズ 六本木ヒルズ店内に『順理庵 六本木ヒルズ店』ショップインショップをオープン。
■IR 時代を迎える日本にどのような見解を持たれていますか?
私自身はゲーミングに関しては興味がなく、それを目的にIR 施設に足を向けることもありません。
しかし“IR 施設”に対して否定的かと言えば、むしろ“楽しみ”のためには赴くことも少なくない。
例えばラスベガスではシルクドソレイユといった素晴らしいショーがありますし、ドバイでは人工のすごいスキー場があったりする。
いずれもIR 施設だからこそ提供できるスケールの大きなコンテンツであるからこその楽しさがありますし、踊るのが好きなので大型クラブや一流のDJ による空間が常在していることも魅力です。
このようにIR 施設と一口に言ってもそこに赴く理由は人それぞれですから、ゲーミングに偏りすぎず、ノーゲーミングの魅力による集客も可能とする多岐にわたったコンテンツ設計をすることが大切ではないでしょうか?
そのためには幅広い年代の家族が同じ施設の中で遊べるということも設計の前提条件だと思いますし、そのようにあってもらいたい。
さらに商業施設、特に富裕層向けのファッション施設をどのように作るかも重要な要素だと思います。この点に関してはただ有名ブランドをリーシングすればいいというのではなく、例えばディナーに行く、踊りに行くといったシチュエーションにふさわしいファッションに着替え、着飾って遊ぶといった文化に対応しうるにはどうすればよいか?
その際に日本に来たからこそ楽しめ、購入できる、もしくは欧米ブランドの商品とそれらをミックスさせた魅力的なコーディネートをどれだけ提案できるかといったサービスの充実が大事になってきますし、日本独自の素材や工芸といったものを欧米化した商材の開発など新たな市場の誕生も期待したいところです。
そのためには併設される商業施設に世界の既存の施設に入っている欧州・米国・アジアBRAND がそろっていることは必須ですし、加えて日本のデザイナーBRAND・日本のセレクトショップ・日本の工芸品・民藝品店舗・日本のBED&BATH BRAND・日本の技術の紹介ブースといった“日本の良さや日本らしさ”を提案できる店舗がそろうことも必要ですし、これらを群として圧倒的に厚く店舗を集積する施設構成を考えられることや日本の工芸や民芸、技術といったものを“ファッション”という領域の商品としてアレンジ、提案しうるプロデュース力を備えたトータルマネージメント能力の高い人材の登用も不可欠でしょう。
さらにはトップのお客さまのためのものをスライドする、そういう機能をいかにそろえられるかも日本のIR 施設が世界で残っていくために必要なことだと思いますね。
日本のファッション界をけん引してきたユナイテッドアローズ25周年パーティー。UAのファンはハリウッドセレブや海外アーティストにも多く、“日本に行ったらUAに必ず行く”というグラミー賞受賞アーティストも!